お気に入りの琉球ガラスの照明がアクセントのリビングルーム。

子供ができるタイミングに合わせて、10年前に中古マンションを購入したHさん。夫婦と息子との3人家族。住み始めた当初は、ヘビースモーカーだった前住民のせいで匂いが残るクロスを総張り替えしたり、小さな2部屋をつなげて大きな1部屋にしたり、壊れた給湯器を変えたりと機能面優先の必要最低限なリフォームを施し暮らしはじめました。

母親の実家があり、自身にとっても第二の故郷である沖縄の雰囲気を取り入れようと、ブーゲンビリアを育てたり、実家の近くの工房で購入した琉球ガラスランプを吊るしたり、ちょっとずつインテリアを整えていきました。

当初から、とりあえず置き家具収納を置いただけの殺風景なキッチン空間が気に入っていなかったものの、子供が小さいうちは、子育てと日々の暮らしで精いっぱい。そこからあっと言う間に月日が流れていきました。

唯一手元にあったというビフォー写真。善逸が気になるところですが、キッチンのカウンターの奥の壁にご注目。何もなく殺風景なのが分かります。

住んで10年。やっと「好きなこと」を始める余裕ができた

気付けば、息子も小学校中学年にさしかかり、だいぶ手がかからなくなってきた。やっと自分の好きなことに着手できる環境に!ということで、ついに長年温めてきたキッチンプチDIY改造を実行。

まずは、10年越しの憧れが形になった姿をご覧ください。

実は、この空間は一度に完成したわけではありません。

当初からキッチン背面に置いていた腰高サイズの食器棚とごみ箱。その上部の何もなかった壁に、はじめに2×2材の突っ張り柱を立てて、2段の棚を設置。そして、その約1年後、念願だったタイルを貼りを実行。「古窯70角タイルの焼麦色(布目)」のタイルを敷き詰めました。

5ヶ月迷った末にたどり着いたのは、幼い頃の沖縄の風景

タイル選びにあたって、Hさんは、toolboxの画像検索サイト「imagebox」で、キッチンのタイル事例をとにかく見漁ってイメージを膨らませていきました。

imagebox」 タイル、キッチンでソートしたところ。モノのカテゴリーや部屋用途別で建築家、お客様からいただいた事例の画像検索ができます。

色選びでは、隣接するピーコックグリーン色のパントリー扉とのバランスを重視。青か、グレーか、それとも茶色か。青いタイルだと、青×青で強すぎる?ピクセルもいいな⋯⋯と、悩みに悩んだそう。色と大きさのシュミレーションのため、タイルの大きさに切った折り紙を壁に当てながら、イメージを膨らませていきました。

そして、最終的に選んだのは、一般的な100角タイルよりひとまわり小さな、70角のレトロな「古窯70角タイル」の焼麦色。表面がボコボコした布目タイプのものでした。

30cm角のシート状になっています。

タイル1枚は約7cm。布目と呼ばれる模様が特徴です。

決め手になったのは、Hさんが幼い頃に連れて行ってもらった沖縄のレトロ喫茶店の記憶。

そこには、壁一面に茶色のタイルが貼られ、テーブルにはブラウンシュガーが置かれていました。そんな店の風景が、今でも鮮明に記憶に残っているのだそう。

古窯70角タイルの焼麦色(布目)」は、その思い出のイメージに一番近い存在でした。

実際決めるまでにかかった期間は、約5ヶ月。ただ、振り返れば、その作業も楽しかったと、Hさん。あれこれ想像しながら、じっくり悩めるのも、自分のペースで進められるDIYの醍醐味のひとつなのかもしれません。

WL-TL012-05P-G141
¥620/シート

ちなみに、タイルは、プロ向けに箱単位で売られているお店も多いのですが、toolboxはシート1枚から購入いただけます。文系のHさんは、¥6,300/㎡と、平米単価で書かれていてもピンと来ず、1シート620円と書いてある方が、お!一枚1000円以下、これを○枚分か⋯⋯と分かりやすかったそうです。

初心者は欲張らない!無理しないDIYを息子と一緒に

選んだ「古窯70角タイル」は約30cm角のシート状になっているので、1枚ずつバラバラのタイルよりは貼りやすい形状です。

まずは、タイルの割り付けを考えていくわけですが、そもそもHさんは、前に取り付けたツーバイ材の柱と棚を一度とりはずして、タイルを全面に貼るという方法は、全く思い浮かばなかったそう。

柱の間にぴったり納めるには、タイルをカットする必要があります。ただ、そのためには専用のグラインダーが必要。

「そこまでやるのは、自分には難しそう」

そう判断し、潔く完璧を目指すことをやめました。無理をして途中で嫌になってしまうより、自分が楽しめる範囲でやる。その割り切りこそ、最後までやり切れた一番の理由だったのかもしれません。

初日は、タイル用のボンドでタイルを壁に貼り付け、乾き待ちの状態で終了しました。

シート状のまま、壁にタイルを貼り付けて、ボンドが乾くまで1日待ちます。養生シートはわざわざ買わず、90Lのゴミ袋を割いて利用したそう。

初心者の最大の難関は、程よいゆるさの目地材づくり

濡らしたスポンジでタイル表面をなでて裏紙をはがした、目地がつまっていない状態からスタート。

翌日から目地詰め作業に入ったのですが、ここで苦労したのが、目地の材料作り。目地材は、粉状で届いたものを、使う分量だけ計量して取り出し、水をまぜて柔らかいペースト状にしていきます。ただ、このペーストのゆるさはどれくらいが適切なのかが、いくら「how to make」のタイルDIY記事やYoutube動画を見ても分かりづらかったのだとか。

「ぼそぼそすぎる?」 「今度は柔らかすぎる?」

と、粉と水を足しては混ぜるの繰り返し。何度か試して、ようやく「これかな?」という状態にたどり着いたそうです。

目地材の粉と水を混ぜてペースト状にしているところ。

最初は、ゴムベラで目地を詰める時点で、目地表面のフラットさをだそうと丁寧に作業していたそうですが、結果この後の工程でスポンジで目地を拭き上げていったら、目地はフラットにキレイに納まることが分かり、ゴムベラであんなにがんばらなくてよらかなくてもよかったと勉強になったそう。これからトライしようとする方に届け、この学び!

目地がちょっと柔らかすぎた?バージョン。がんばってゴムへらで押し込んでいきました。

目地を詰めていく途中でもう一つ慌てたのが、目地が足りなくなるかも問題。これも、タイルDIYあるあるです。

全体の2/3ほど終わったところ。目地が足りなくなるかもと焦りつつのタイミング。

タイルの目地は、粉状のkg単位で売られています。使うタイルによって、タイルの厚み、目地幅の設定が異なるため、タイルの寸法を見ながら必要目地面積をざっと計算して購入しなくてはいけません。

ちなみに、タイルの必要寸法などを入れていくと、自動で必要目地量を計算してくれる便利なサイトがいくつかあるので、そちらを活用するのも一つなのですが、Hさんは当時、この必要目地量の計算方法サイトに辿り着けなかったそう。

目地材にも、一応、標準サイズのタイルの場合の目安量が書いてあります。多めに買うのが正解と思いつつ、本人曰く「ケチって(笑)」1袋だけ購入。書いてある目安数値より、実際はもう少し必要だったそうですが、今回はギリギリ間に合いました。

目地の色はグレーと悩んだ末、ベージュ色に。それは楽天で購入されました。

目地詰めが終わったら拭き上げていきます。なぜか4マスだけ先行してキレイにした息子くん。布目模様の凹凸に詰まった部分が気になり、爪楊枝でほじっているところ。

水を絞ったスポンジで拭き上げていくところ。盛り上がっていた目地もこの時点で、フラットにならされていきます。

拭き上げの仕上げには、古いごわごわしたバスタオルを利用。布目の凹凸の隙間に詰まっていた部分も、キレイに取れています。

目地の拭き上げ完了!ブラウンにやさしいベージュ色の目地が似合っています。

こうして、最終的に完成して家電などを戻した状態がこちらです!

突っ張り柱と棚板は、置き家具に合わせて、アンティークワックスで色付け。右の食材入れの木のBOXも蓋部分だけDIY。

左端から貼り進めたため、右端にできた隙間が少し気になるとHさん。でも、家電や道具が戻ると、その違和感はほとんど分かりません。

DIYだからこその小さな個性も含めて、10年越しに手に入れたお気に入りのキッチンになりました。本当におつかれさまでした!

 

最後に、棚の奥に気になる飾りを発見。

多治見のモザイクタイルミュージアムに行ったときのお土産や、今回のDIYのために取り寄せたサンプルタイルたち。思い出の小さなタイルたちが、アートボードへと生まれ変わりました。

タイルを並べたのは、息子くん。目地材の色確認も兼ねて、一緒につくったのだとか。

10年越しで叶えた憧れのタイルDIY。完成したキッチンはもちろんですが、親子で一緒に手を動かしたことも、何よりの思い出になったのではないでしょうか。

忙しい毎日の中、DIYをする時間をつくり出すのも一苦労ではありますが、子育てが一段落したタイミングなら、子供も小さな戦力になりますね。色々聞かせていただき、ありがとうございました!

リビング側からキッチンをのぞいて。パントリーの扉の色とブラウンのタイル壁も相性もばっちりです。

紹介している商品

WL-TL012-05P-G141
¥620/シート
テキスト:来生

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