面積は約100㎡、広々としたルーフバルコニー付きで、窓外に広がるのは一面の空!という、うらやましすぎるマンションに暮らすのは、40代の姉と妹、愛犬一匹のご家族。

以前は60㎡のマンションに暮らしており、当初はその家をリノベーションするつもりでした。でも、「姉妹それぞれダブルベッドで寝たい」という希望を叶えようとすると、寝室がベッドだけの空間になってしまう……。思い切って住み替えに舵を切り、「広い家」を探し求めて見つけたのが、現在のマンションでした。

約100㎡ある空間のリノベーション後の間取りは、なんと1LDK。しかも、1室だけある個室は「書斎」で、姉妹の寝室はLDKと一体に。リビングの一角に、ダブルベッドを2つ並べました。

ベッドは、ファブリックカバーのヘッドボード付きを選んで、ソファと同じ空間に同居していても違和感がないようにしています。寝る時は、プロジェクターで壁面に映像を映すこともあるそう。

姉妹暮らしで寝室一体型のLDKはとても大胆な間取りに思えますが、「広々した空間」と「それぞれがダブルベッドで寝る」、両方が必須だった二人にとっては、これが最適解。

小さな頃から、家族がリビングに集まる暮らしをしてきたこと。さらに海外生活の経験もあり、広い空間で過ごすことが好きだったと話すお施主さま。

また、姉妹ともに「家に友人を招かない」考えでもあり、招くとしたら家族のみ。60㎡のマンションを売却して今の住まいに移るまでの間に経験した賃貸暮らしも、「私たちに個室はいらない」という実感につながったと言います。

この家には、そんな「自分たち仕様」があちこちに散りばめられています。

玄関とLDKを繋ぐ、複数の動線もそのひとつ。玄関からは、アーチ開口のある通路と、ウォークスルークローゼットを通じて、LDKにアクセスできます。

持っている服が一望できる、オープンなラックを備えたウォークスルークローゼット。シューズインクローゼットとも繋がっており、お出かけ時も帰宅後の着替えもスムーズです。

さらにウォークスルークローゼットは洗面室に対面していて、朝の身支度や帰宅時の手洗いが、一箇所で完結する、というわけです。

そしてもうひとつ、注目して欲しいのが、洗面の鏡に映り込んでいるアクセサリーたち。

大量のアクセサリーが壁にずらり!壁にマグネットを仕込み、マグネット収納パーツを駆使してアクセサリーコーナーにしているんです。

このアクセサリー収納のアイデアは、お姉さんが以前から「やりたい」とあたためていたもの。リノベーションで、叶えることができました。

もうひとつの動線であるアーチ開口のある通路の壁は、ホワイトボード仕上げになっていました。塗るだけでホワイトボード仕上げにできる特殊塗料が使われています。

このホワイトボード壁は、仕事のメモや、暮らしの中のTo doを書き付ける場所。デスクや冷蔵庫に貼った小さな付箋では見逃してしまいそうなタスクも、この壁に書かれていれば一目瞭然!終わったタスクを消して白い壁になった時は、気分爽快になれそうです。

この通路は、玄関横に設けた書斎の一部でもあり、引き戸を閉めると個室化できるようになっています。とはいえ、個室として使うのはオンライン会議の時ぐらいで、リビングで仕事をしている方が多いのだとか。

書斎にはもう一箇所、窓側にも引き戸があり、こちらの引き戸の中はというと……

キッチン裏のパントリーに繋がっています。食材やお水など、生活用品をネットで買うことが多いため、玄関からパントリーにすぐに運び入れられる動線にしたのです。おかげで、玄関付近に届いた荷物が溜まることもありません。

パントリーの中は、既製品の収納ラックや収納ボックスを使って、“ざっくり分類”で収納。「中身を細かく決めすぎると、分類に迷って整理が面倒になるから」とのこと。

ちなみに、パントリーは書斎とLDKを繋ぐ通路も兼ねており、この動線も含めると、玄関からLDKまでは3つの動線でアクセスできます。

家づくりをする際、「やりたいこと」から考える方が多いかもしれませんが、この家の施主姉妹がまず取り組んだのは、「面倒だと思うこと」の洗い出し。それを元に、設計者さんにプランニングしてもらったそう。自分たちの日頃の行動や性格を映し出した家は、肩肘を張らずに気楽に暮らせそうです。

もちろん、「やりたいこと」もたくさん実現。オリジナルで造作したキッチンは、姉妹のこだわりが詰まっています。

キッチンはⅡ型のレイアウトを選択。対面シンク側の天板を約1.5m×1.4mの大きさにして、ダイニングテーブルとしても使えるようにしました。天板には、お姉さんが以前から憧れていたという素材、クォーツストーンを使いました。

せっかくの大きなクォーツストーン天板、「シンクだけステンレスにするのは嫌」と、シンクも同じ素材で造作しました。触れずに操作ができるよう水栓はセンサー式に、食洗機はフロントオープンタイプを選択。フロントオープンタイプを選んだのは、海外に住んでいた時に使っていて、便利さを感じたから。ただ、海外製は二人暮らしには大きすぎるということで、国内メーカーのものを採用しました。

Ⅱ型のレイアウトは、シンク横にビルトインした食洗機から食器を出して、背面の収納に片付けるという、最小限の動きで作業が終わるところが気に入っているそう。

水栓と、キッチンツールバーに使った『ハンガーバー』は真鍮製で統一。コンロ側キッチンの壁はマグネットパネルになっており、ここでもマグネット収納パーツが大活躍していました。

オープン棚やニッチ収納には、お気に入りの鍋やキャニスターを並べて。グレートーンでまとめたキッチンに、赤いル・クルーゼがとても映えています。

こだわりを尽くしたキッチンに立つたび、「気分が上がる」とお施主様。ルーフバルコニーで育てた、採れたての野菜を使ったり、料理を楽しむ時間が増えたと話します。

少し高い位置にあるルーフバルコニーへ出入りがしやすいようにと、窓際にはステップ代わりの収納を設けました。収納の一部はキャスター付きになっていて、スツールとしても使えるようになっています。

窓辺の天井に取り付けたルーバーには、グリーンを吊るして楽しんでいます。リビング空間を横断する大きなアーチ越しに、グリーンで彩られたルーバー、ルーフバルコニー、その先に広がる空へと、視線が抜けていく景色が気に入っているそう。

各所に取り入れたアーチも、お施主さま姉妹のお気に入りポイント。リビングやパントリーの出入り口、通路など、アーチを家のシンボルとして各所に取り入れることで、100㎡弱ある広い家に一体感をつくっています。

金物や照明器具などに取り入れた真鍮も、そうした要素のひとつ。通路に取り付けた真鍮製のブラケット照明には『ビンテージLED電球』のLEDエジソンを組み合わせて、クラシカルな雰囲気にしていました。

「広い家」を求めた理由のひとつには、あまりお散歩が好きではない愛犬が、家の中で思いきり走り回れるように、という想いもありました。

回遊できる間取りや広いルーフバルコニーは、そんな愛犬にとっても快適。床材には、愛犬の足への負担を考えて、ファブリック調のビニル系フロアタイルを採用しています。リビング収納も、ペットゲージやペットグッズを周辺にまとめてしまえるように計画しました。

他にも、大空間の見晴らしを損なわないようエアコンは天井埋め込み式にしたり、置きたいものや使う家電に考慮して壁や床の各所にコンセントを計画したり、脱衣所はその場で室内干しできるランドリールームを兼ねていたり。「自分たちが優先したいこと」にとことん正直に向き合って、「姉妹二人と愛犬」の暮らしにフィットする住まいをつくり上げました。

そうした家づくりができたのは、さまざまな経験を重ね、「自分にはこれが合っている」と分かっている大人世代だからこそかもしれません。自分たちらしさに寄り添う住まいでの暮らしは、いつでものびのび自然体でいられそうです。

EcoDeco

EcoDeco

株式会社Style&Decoが運営するリノベーションブランド。中古マンションの仲介から資金計画、リノベーションにまつわるあらることをトータルにサポートしています。コーディネーターは、不動産探しから設計まで一貫して担当できる不動産と設計のプロ。「住まい手の暮らしに合わせたオーダーメイド」のリノベを得意としています。

テキスト:サトウ

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