建売住宅は、価格や条件のバランスがよく、その点はとても魅力的に感じたそう。だけど、「どこか“誰かのための家”のようで。自分たちの暮らしがうまく想像できなかったんです」と当時を振り返るおふたり。

「せっかくなら、人とは違うちょっと変わったことがしたいなとも思って」

そう思い、それまでご主人が暮らしていたご実家である、長屋のリノベーションに踏み切ります。

改装前の外観

改装後

元の玄関の勝手口のような見た目がずっとコンプレックスだったというご主人。しかも、玄関扉の目の前はすぐ道路で、扉を開けた瞬間に自転車とぶつかりそうになったことも。

そこで今回のリノベーションでは、玄関にポーチを新設。道路との間にゆとりを持たせることで、見た目の印象も安全面も、ぐっと改善されました。

玄関扉の脇には、『ハンガーバー』を使った傘掛けを設置。

扉を開けたときに室内が見えすぎないよう、内部のつくりにもひと工夫。

アクセントとして取り入れたのは、モデルハウスでご夫婦が一目惚れしたというエキスパンドメタルです。お気に入りの帽子を吊るしたり絵を飾ったり。見た目だけでなく使い勝手も抜群。

長年コンプレックスだった玄関がお気に入りの場所に生まれ変わりました。

以前キッチンだったスペースは、広めのシューズクローゼットへ。帰宅後すぐに手を洗えるよう、手洗い器も設けられています。やさしく灯る『ソケットランプ』の明かりが、ほっと安心できる空間にしてくれています。

BEFORE

AFTER

もともとの間取りは、水まわりが狭く、部屋も細かく仕切られていて、使いにくさを感じていたと言います。

そこで今回のリノベーションでは、洗面・浴室・トイレといった水まわりと寝室を2階に集約。1階はLDKのみのシンプルな構成に。動線がすっきりと整理されたことで、空間全体にゆとりが生まれました。

キッチンの腰壁には、玄関と同じくコンクリートブロックを採用。素材をそろえることで、空間にさりげない統一感を。
また、急だった階段もゆるやかに整えることで、毎日の上り下りがぐんと快適に。そこに、使い込むほどに手に馴染む『木の手摺』がやさしく寄り添います。

階段の一番下の段には、ルンバの基地を確保。実用的でありながら、ちょっとした遊び心を感じさせるアイデアです。

2階の天井には、温かみのあるラワン合板を使用。そこにあわせたアイアンの手すりやネット、鋼製の配管などの無骨なパーツが、年月を重ねた柱や梁に心地よく馴染んでいます。

本好きなご夫婦のために、廊下には壁いっぱいの造作本棚を。

お気に入りの本がずらりと並び、ふと立ち止まってページをめくりたくなるような。静かで落ち着いた空気が流れる“通り道”ができあがりました。

ラワンで造作したヘッドボードがやわらかな雰囲気を醸し出す寝室。
あわせて、天井を解体し勾配天井にすることで、高さと広がりが生まれ、開放感あふれる気持ちの良い空間に。

身体が大きいご主人のため、トイレは一般的なサイズよりも広めに設計。

「どのくらいの横幅が快適か」を現地で何度も測りながら、ちょうどいい寸法を探っていったそうです。(たしかに、トイレの居心地って意外と大切。)

手摺りやラック、ペーパーホルダーはすべてアイアンで統一。手摺りには、ずっしりとした存在感がある『アイアンドアハンドル』を採用。そこに『スチールラック』を組み合わせていただきました。どちらも、あえてきれいに整えすぎない風合いが魅力。シャープですっきりとした印象のなかに、素朴な素材感がほどよく漂います。

費用だけみれば、『もう少し出せば新築の建売買えるやん』とツッコまれることもあったそう。「でも、防音や断熱といった必要な工事に加え、自分たちのこだわりをすべて詰め込めたので、特別高いとは感じてません」とご主人。

“完成された誰かのための家”ではなく、 “ふたりのための家”を、自分たちでかたちにしていく。その選択には、日々の暮らしがより愛おしく感じられる確かな豊かさがありました。

KUJIRA|クジラ

KUJIRA|クジラ

【未来に繋がる「カッコいい」を創る】をミッションに、空間から生まれる感動や居心地を大事にしながらワンストップリノベーションを提案してくれるリノベーション設計施工会社。

自宅リノベから店舗・オフィス、街のデザイン・開発など幅広く大阪で活躍しています。

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