この家はもともと、ご両親が製本業を営んでいた作業場兼住居。活版印刷物の仕上げを担う仕事場として、長年使われてきた建物です。その場所を、息子さんご夫婦が「2世帯住宅として新たな暮らしの場に」とリノベーションしました。

Before:1階が作業場、2・3階が住居として使われていた頃の風景。

建物は3階建て。外観は、ぱっと目を引く淡いオレンジ色で素朴な正方形のシルエットが可愛らしい。
玄関は2つ。正面の玄関はご両親の住まいのもので、息子さん家族の玄関は、建物の横を抜けて裏手に回ったところにあります。

正面の玄関には、ANTRYの丸い無垢の木の把手が取り付けられ、さりげないワンポイントに。やさしく手に触れるそのかたちは、どこか親しみを感じさせてくれます。

裏手の玄関から室内に入ると、外観とリンクする明るい色づかいが目に入り、家族をやさしく迎え入れてくれます。

玄関まわりには、ラワン材の棚板でつくられたシンプルな下足棚。必要なものだけをすっきりと納めた、気持ちのいいミニマルな空間です。そこからカーペット敷きの階段を上がると、光の差し込むLDKに繋がります。

元は住居だった2階は約39m2の広々リビングに。2面に大きく開いた窓から光が差し込み、開放感のある空間です。
リビングもポップで軽やかなピンク。鉄骨造の赤、ラワン材のナチュラルな色味とも調和し、かわいらしい雰囲気をつくり出しています。

照明は、配線工事を最小限に抑えるため、天井中央にダクトレールを一本通し、真鍮ソケットのペンダントコードをフックで吊るすというシンプルなスタイル。必要な場所に、必要な灯りを届ける設計です。

この場所は、息子さんご夫婦とお子さんたちにとっての団欒の場であると同時に、1階に暮らすご両親もときには一緒に食卓を囲む、家族みんなの集まる場所。親世代と子世代が気軽に行き来できて、自然と会話が生まれる、そんなあたたかな空間になっています。

キッチンまわりはステンレスで統一。壁のキッチンパネルと合わせて、レンジフードもステンレスの『フラットレンジフード』を採用。

天板はそのまま横幅を延ばして、作業や食事にも使える一体型のテーブルカウンターに。家族の暮らしに合わせたフレキシブルなつくりになっています。扉の把手は、お施主さんの指定でラワンの面材に相性のいい『鋳物キッチン把手』をセレクトいただきました。

リビングの入り口は2か所。もともと空間が仕切られていた頃の出入り口をそのまま活かし、ガラス框ドアを取り付けました。視線が抜けることで、より開放感のある空間に。どちらからでもアクセスできる、かつての広さをそのまま活かしたちょっと贅沢な動線です。

リビングのすぐそばには、もともと広かったトイレスペースを活かして、サニタリーを設けました。今回のリノベーションで、洗面と浴室を組み込んで、ちょうどいい水まわりスペースに変身しました。

かつて作業場だった大きな間取りを活かしながら、必要なものだけを残して、間仕切りも装飾も最小限に。色使いと素材使いの工夫を加えて、住まいに求める「心地よさ」と「機能性」が、ちょうどよくバランスされた、すっきりと気持ちの良いお家になりました。

株式会社KOUEI

常に変わりゆく今という瞬間を敏感に感じ取る肌感覚、今という形にならない空気感を嗅ぎ取る嗅覚、そして、それらを基に、大股でその一歩先をいこうとする創造性。また、自社での多岐にわたる事業経験を通じて培われた実践的な感覚を合せ持つのが「株式会社KOUEI」です。少数精鋭の施工チームは、その感覚、知識と技術であなたにサプライズをお届けします。

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テキスト:小尾

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