家づくりに密着しているのは、TBK(ツールボックス工事班)で設計施工を担当するtoolboxスタッフ矢板。

奥さんと1歳半のお子さんの3人暮らしで、賃貸暮らしだった家に子供が生まれたことで手狭に感じるように。それがきっかけでセルフリノベを前提とした家づくりを始めました。

以前公開したvol.1では、物件探しから計画プラン、矢板なりの住まいに対する考え方をお伝えしています。

自分で手を加えた家に住みたい 〜家探しからプラン構想まで〜
自分で手を加えた家に住みたい 〜家探しからプラン構想まで〜
toolboxスタッフによる、築46年戸建のセルフリノベーション。過去の体験から構築されていった「住まい」に対する思いから、家探しを開始してプランを決めたところまでをお話しします。

本記事のvol2では、既存の素材をできるだけ活かしながら手を加える家づくりの中で、入居前に行ったセルフリノベーションについて紹介。

vol1でお伝えしたプランの作業の様子や完成形、作業スケジュールや作業後の感想を本人の言葉でお届けします。

お気に入りの場所にいるスタッフ矢板。

自分たちで作っていくセルフリノベを選択したから

作業をしていたのは、夫婦の仕事の休みが揃う土日。

1歳半の子供がいるので、作業の日はまず子供を預けることから始まります。9時に子供を預けて、1時間で移動して10時に作業開始。15時にはお迎えのために現場を出るので、作業時間は実質5時間。

その時間で作業を一気に進める必要があるので、材料をネットで購入したり終業後に購入したりと、準備は基本平日にして土日は作業に集中できるようにしていました。

「作業時間は5時間」と聞くと、短いと思うかもしれないですが、作業のイメージや準備がしっかりできていると、5時間でも案外やりたいことができていた気がします。

あとは、「楽しくやりたい」というのが根底にあったので、友達や家族を呼んで一緒に作業することもありました。人手も多い方がやっぱり作業は捗るので、来てくれてとってもありがたかったです。

いろんな人が関わったからこそ完成度は場所によってまちまちですが、自分たちで住むから問題ない。むしろみんなで作りあげていく空間にできてよかったなと思います。

今回の家づくりでは、縛りを自分の中でつくっていました。それはホームセンターやネットなど、一般の方でも手に入る建材を活用して作るということ。

特殊な仕上げや工務店じゃないと発注できないような特注の金物を使っていると、今後追加で何かを設置したいとなった時にその素材の接合部分や納まりに困る。

誰でも更新していけるように、気軽に手に入る素材で構成したいなと考えました。

入居前のセルフリノベーション。完成形を公開!

vol.1で計画内容を大きく6つお伝えしていたので、その計画がどうなったのか、紹介していきたいと思います。

光が抜ける開放的なリビング

和室と洋室の2つが繋がっていたリビングは、ひとつに繋がるようにしたい。

そう考えて、畳とフローリングをそれぞれ外して床の高さを揃え、その上にリノリウム素材のマーモリウムタイルを貼って仕上げました。

ボンドを塗って1枚ずつ貼り付けていきます。

床の仕上げは友人2人が手伝いに来てくれたので3人で作業。みんなで作業したから無理なく完了できました。こういう時に頼れる友達がいるのはとても嬉しいこと。2人ともありがとう!

500角のパネル状なのでロールのタイプと違って施工性もよかったなと思います。質感、色味ともにいい感じで気に入っています。

掘りごたつはそのまま活用したかったので、開けたままに。

リビングの壁の隣にあるのは玄関。元々玄関に入った時に閉塞感があったので、間の壁を解体して軸だけを残し、窓の光が玄関にまで届くようにしました。

軸だけを残した壁の仕上げに選択したのは、ポリカーボネート。光は通したいけど、エアコンの効きなどを考えると風は通さない壁にしたかったので、光を通して風を通さない素材を選びました。

廊下と面していない室内にある壁は視線が奥まで通るようにクリアのボードを貼り付け。

ポリカーボネートの中にもいろいろ種類はあって、その中でつるっとした面とざらっともやがかかるような面の2面性のあるものを選択。

玄関に入った時にリビングまで覗けてしまうのが嫌だったので、見え過ぎないものにしました。

左端にある視力検査のマシーンは間接照明にしようと購入したもの。

貼り付けの際はリビング側がつるっとした素材になるように。

それは、この壁に子供が絵を書いたり字を書いたりできるようにするため。ポリカーボネートでも使える水性マーカーペンを購入して、巨大なキャンパスのように自由に楽しめたらいいなと考えています。

古くてチープな感じが好き。既存残しのカスタマイズキッチン

既存のキッチンは、取手のプラスチック感や少しベージュかかった白い面材など懐かしさのある仕上がりがとても気に入っていました。でも、キッチンの高さや設備が今の生活には合わない。

そのため、既存のものを活用しながら自分仕様にカスタマイズすることにしました。

天板を外したらキャビネットを分解して、順番を自分好みに並び替え。分割されたキャビネットをシナ合板で囲って補強しつつ高さを出しました。

既存の棚や窓枠などには濃い色の木が使われていたので、キッチンはなるべく彩度を落とした素材にしたいなと思い、白っぽいシナ合板を選択しました。

しかし、シナ合板は日が当たったり時間が経つと黄みがかってくるので、そうならないように白く塗装しました。塗ったのはワトコオイルのホワイトです。

そのあとは『オーダーキッチン天板』を載せて、コンロや食洗機、オーブンなどの設備を入れ込み、完成!

作業日数は4日。

合板のカットなど事前準備に1日、キャビネットを組み立てに1日、塗装に1日、給排水や電気を接続して天板を固定するのに1日、という割り振りで作業を進めました。(ガスは別日に接続してもらった)

作業できる期間は限られているのでスムーズに進むように、事前に作業のシミュレーションをして流れをしっかり頭に入れておいたので、短時間で完成できたと思います。

木パネルの壁や木の吊り戸などいろいろ要素が多いので、壁面には、白くてフラットな『T番タイル』の75角を貼りました。

上の戸棚やレンジフードカバー、キャビネットはそのままに、間に新しいものを入れ込んで新旧混ざり合ったキッチン空間。

白タイルを背景にしたことで道具が映えるようになり、カラフルなスパイスや食器を置いたりしたいなと妄想が膨らんでいます。

タイル壁についているステンレスの棚は、ネットでサイズや厚みをオーダーして注文したもの。

道具が綺麗に飾れるように、『ハンガーバー』や包丁スタンドなどパーツ類はこれから取り付ける予定です。

「Kiosk」から発想を得た、キッチンカウンター

ダイニングはそんなに広くないし、窮屈にテーブルと椅子を置くくらいなら、それらは要らないんじゃないかなと思っていました。

それよりも、コーヒーを入れたりできるようなカウンターが欲しいと、住む前に妄想を膨らませていました。

素材はキッチンと同じシナ合板。こちらもホワイトで塗装しています。

発想を得たのは、駅ホームにある「Kiosk」。夫婦揃って雑貨やフィギュアが好きでいろいろ集めているので、お店のように並べられる箱のようなカウンターをつくりました。

ボックスの大きさも自分たちサイズに。高さも170cmと小さめなのですが、それもあってかリビングからみたときにこのカウンターボックス全体がしっかり見えるようになりました。

子供が小さいうちは触ってしまうのでそんなに並べられないかもですが、ここにずらっとお気に入りたちを並べたいなと、スタイリングはこれから調整する予定です。

ここに座ってパソコン作業をするのが結構いい感じで、好きな居場所になっています。

壁を壊して拡張した洗面スペース

今まで使っていた洗濯機が既存の場所にはまらなかったので、洗濯機が収まるように壁を壊して空間を拡張しました。

壁をがっつり壊して作り直したのはここだけ。

壁を壊したところの補修はかなり大変でした。

床も壁と一緒に貼りかえるのであれば問題はないのですが、今回は床は既存のままにしたかったので、壊したところにぽっかり空いた床をどうやって埋めるのかが悩ましかったです。

今回は洗濯機置き場になるので目立たないため、合板で埋めて近しい色に着色しました。

洗面台は『スクールシンク』のデッキ付きのものを選択。それに合わせてミラーやハンドソープ入れもシルバー系のものに。

洗面空間は床が暗めな木で主張が強かったので、洗面の素材には木の要素は入れたくなく、シンプルにまとめました。

念願のブルーの床を実現した寝室

寝室の床は、畳からカーペットに変更。

友達と一緒に作業。みんなでやると楽しさも増し増しです。

選択したカラーはブルー。

畳を剥がしたら、まず根太材を引いて合板を貼る。そして、ボンドを塗りタイルカーペットを貼り付けました。

大変だったのは、下地を整える作業。合板が平らになるように、部材が合わさる部分がフラットに繋がるように気をつけました。

カーペットは東リのGX200。

1960〜70年代あたりの建築家が別荘で和室にカーペットを合わせている事例をみた時に、「今の私たちが見てもかっこいいなー」と思うところがあって。昔からブルーのカーペットには憧れがありました。

自分でできないところはプロに託す

電気工事や水道など専門の知識や経験が必要な場所は職人さんにお願いしました。

例えば、お風呂。タイル壁は既存のままに配管や器具だけ交換したかったので、壁の中に収めることの多い配管を露出して仕上げてもらいました。

露出させるしかなかったものではあるのですが、この配管の細さが結構気に入っていて、結果的にこのような形になってよかったなと思います。丁寧に仕上げてくれた職人さんに感謝です。

また、壁塗装は自分でやるつもりだったのですが、入居日が迫ってきてきて「作業が間に合わなそう…..」となり、1階と2階の塗装を職人さんにお願いしました。

職人さんは綺麗で早い。もちろん分かってはいましたが、改めてそのすごさを実感しました。自分でやるところとお願いするところをうまく使い分けられると良さそうです。

やっぱりセルフリノベーションはなかなかハードだった

引っ越しは4月と住む前にやらなければならない工事のデットラインが決まっていたので、作業を開始した12月から4ヶ月間はそこに向けてノンストップで工事を続けてきました。

平日はtoolboxの設計施工の仕事をして、土日はまるっと作業。ゆっくり休む時間のない4ヶ月で、家づくりをすること自体はもちろん楽しかったのですが、体力的にはなかなかハードでした。

でも、友達や家族が手伝いに来てくれたりtoolboxのメンバーが見に来てくれたり、1つのイベントとしてみんなで家づくりを楽しめたので、いい経験になったなと思います。

今後は計画は進めつつも作業自体は少しお休みして、暑さが和らいだらまた作業を開始しようと思っています。

一緒に考え作業してきた奥さんにも感想を聞いてみました。

「最初の解体の期間はなんだかボロボロに壊しているようで大丈夫かなと不安でした。むしろそのままでも住めたのではないか、なんて思ったりしたこともありましたし……。

でも、その後の仕上げて行く段階になってからは、すごく楽しかったです!友達も呼んでみんなで一緒に作りあげていく過程を堪能できて、このように住み始められて、本当によかったなと思います」

家づくりはこれからも続いていく

今回の家づくりのテーマは、「継ぎはぎ」。

既存の家で気に入った部分は残して、その良さも活きるように手を加えてきました。

今はまだ子供が小さいから、今後どんなふうに成長していくのか、それに伴い家族がどんな生活をするのか、分からない。

広い子供部屋が欲しいと言うのか、ほとんど1階で過ごすからただ寝れる寝室があればいいのか、どんな素材が好きなのか、どんな色が好きなのか……。成長していく子供の思いに柔軟に対応できる家でありたいなと思っています。

グリーンのスイッチプレートはnational時代のプレートを型取り、3Dプリンターで作成したもの。

そのため今後も、住みながら手を加えていくスタイルを大事にしていこうと思っています。

最後に今後の妄想をお伝えして、また次章でお会いできたらと思います。

・キッチンにハンガーバーやナイフスタンドなどのパーツをつける
・リビングの壁軸に収納棚を取り付ける
・洗面室のタオル収納エリアを見せる収納ができるように整える
・庭にウッドデッキを作る
・寝室の部屋の天井を抜いて、天井の高さを上げる
・将来子供部屋になりそうな部屋を子供が1人部屋を必要になるまでは(3〜5年後ぐらい?)趣味部屋として使えるように整える(詳細はこれから検討)

この軸にポリカーボネートの上からインロー棚をつけたい。

自分で手を加えた家に住みたい 〜家探しからプラン構想まで〜
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toolboxスタッフによる、築46年戸建のセルフリノベーション。過去の体験から構築されていった「住まい」に対する思いから、家探しを開始してプランを決めたところまでをお話しします。

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