64㎡の中古マンションを購入し、リノベーションしたHさんご夫妻。リビングダイニングの斜め先に見えるのはワークスペース。建具で仕切ることはせず、ひと繋がりの空間にしています。

Hさんご夫妻が購入したマンションは壁式構造。リビングダイニングと、ワークスペース・キッチンの間にある壁は構造壁で壊すことができませんでしたが、それによって空間が緩やかに仕切られ、スペースごとの居心地を生むことに繋がりました。

8帖ほどあるワークスペースには、夫婦のデスクが並んでいます。横並びにしたのは、ご夫妻の意向から。仕事の合間にたわいない会話をしたり情報交換をすることが、程よい刺激になるのだそう。

確かに、在宅ワークをしていると誰かと雑談する機会がグンと減ってしまうもの。だけど雑談が気分転換になって、仕事が捗ったり、いいアイデアが浮かんできたりすることもありますよね。煮詰まった時こそ誰かと話したくなるタイプの私は、Hさんご夫妻のワークスタイルに共感を覚えました。

デスクの正面側の壁は、モルタル仕上げ&露出配管という無機質な雰囲気に。白壁で仕上げたリビングダイニングとは変化をつけて、仕事モードに切り替えやすくしているのもポイント。

上の写真の正面に見える収納は、元は全面扉付きのクローゼットだったのを、半分に縮小。空いたスペースにはラックを置いて、圧迫感のない空間にしています。ラックに置かれたお気に入りの本や雑貨、デスク背面の棚に並ぶCDたちも、仕事の合間に一息つきたい時のお供として活躍してくれそう。

ワークスペースもリビングダイニングも、床はパーケットフローリングで仕上げました。壁式構造の壁と梁がスペースを区切りながらも、床がひと繋がりになっていることで、開放感も感じられます。

パーケットフローリングのオイル塗装は、Hさんご夫妻がDIYで行ったのだそう。コストダウンに繋がるだけでなく、住まいへの愛着づくりにも繋がりますね。

独立型のキッチンは、マンションの構造上、移動が難しかったゆえのものですが、職住一体の住まいの中では、料理に集中して気分を変えるのにちょうど良いですね。海外のアパートメントを思わせるタイル壁を眺めながらお茶を淹れる時間も、心地よさそうです。

キッチンに続いて、水まわりを拝見しましょう。洗面所は、プレーンな白い100角タイルに「ウェルラウンドシンク」を組み合わせました。ルーバードアと拡大鏡が海外の住宅のような雰囲気を醸し出しています。

洗濯機上には『ハンガーラック』が備え付けられていました。物が置けてハンガーやタオルも掛けられる、さらに水にも強いハンガーラックに、ぴったりの使い所です。

こちらは寝室。壁式構造で部屋のサイズが変えられない分、クローゼットは扉の開閉に場所を取らないよう、扉なしのオープンな仕様にして、部屋の面積を無駄なく活用。床仕上げにはリノリウムを採用して、ワークスペースやリビングと雰囲気を変えています。リノリウムは静電気の発生が少なく、埃がたまりにくい素材。布ものが多い部屋にぴったりのセレクトです。

愛犬の「気分転換」にもしっかり配慮。リビングに元々あった収納は、上部はペットグッズを入れるスペース、下部は愛犬がひとりでゆっくりできるドッグハウスにしました。こちらの住戸は1階で小さな庭もついており、気軽に外遊びができます。

思いついた時や、集中が途切れたとき、自分のペースで気楽にオフに切り替えられるのは、生活の場と仕事の場がゆるやかにつながっているからこそ。隣で仕事をするパートナーとおしゃべりしたり、リビングのオーディオセットで音楽をかけたり、愛犬と触れ合ったり。気分転換のきっかけがさりげなく詰まった、家で仕事をすることが楽しくなる住まいです。

株式会社 空間社

世田谷区・目黒区・渋谷区・港区を中心とした東京都内近郊で、マンション・戸建て住宅のリノベーションを行っています。プランニングから設計、施工を経て完工・お引き渡しまで、同一の担当者が責任を持って進めていく、安心の専任制を採用しています。

テキスト:サトウ

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