何年も大切にされてきたような飴色の内装、賑やかな絵と小物たちが視界を彩る約80㎡のマンション。
置かれているものは個性豊か、テイストが統一されている訳ではないのに、住まい手の人柄が滲み出ているよう。一目見て「とても好きだな」と思ったお家をご紹介します。
「とにかく明るさが欲しかった」と、思い描いた家に出会うまで時間をかけて物件探しをされたというお施主様。ひとつの物件でも、時間帯を変えて複数回見に行くこともあったそう。
そんな中で出会ったこの物件は、リビングの壁面がほぼ窓!という、なんとも羨ましい間取り。
マンション自体の形状もユニークな物件で、リビングの窓越しに外壁が見えるつくりになっています。
赤茶色のタイルに懐かしさを感じる屋外照明……ベランダの植栽と相まって、戸建てのような雰囲気も感じる景色。3枚引き違いのサッシも個人的に惹かれるポイントです。
もうひとつ、この物件の個性といえる場所がこちら。
リビング奥から伸びる廊下。左手が和室、奥は仕事部屋として使っている個室に繋がっています。
掃き出し窓に面した明るい廊下。日が差し込むと縁側のようで、家の中でも気に入っている場所のひとつなんだそう。既存のまま再利用した天井の照明も、ほっとする空気を醸し出しています。
そのままでも魅力が溢れた、ポテンシャルの高い物件。
特に、玄関からリビングを通って各部屋にアクセスする間取りは、お施主様が当初思い描いていた生活動線そのもの。「間取りを大きく変えるようなフルリノベをしなくても、叶えたかったことは実現できる」と、気になる部分だけを変える「プチリノベ」を行う選択をしました。
「内見した中にはリノベ済み物件もありましたが、フルリノベをするなら綺麗なモノを壊すことになるので、どこか積極的になれない部分もありました。その意味でも、この物件は間取りも水まわりも既存利用したい部分が多くて、無駄になるモノが出なくて済みそうでよかったです」
間取りや設備だけでなく、リビングの床も元々使われていたアメリカンチェリーの床材をそのまま活かして。収納を撤去した場所など、足りない部分を同じ素材で継ぎ足しています。
こっくりとした色艶がアンティークの家具たちと、とても良く似合っていますね。
窓のない玄関にも光が届くようにと、リビングドアはガラス入りのものに変更。床の色味ともしっかり馴染む色合いです。
『ワトコオイル』を使って定期的にメンテナンスをしているそう。
スイッチは『アメリカンスイッチ』を選んでいただきました。アナログ感のある操作部が並ぶ姿が、壁面に何気なく色を添えています。
元々2部屋に分かれていた空間を繋げたリビングダイニングは、クロスを張り替え、天井を躯体現しにしたことで、より広々とした箱のような空間に。
ラグや置き家具、壁面の装飾を使いながら、それぞれの居場所をつくっています。
そんなリビングダイニングを一望できる場所にあるのがL型のキッチン。
前の住人が6年前にリフォームして、綺麗な状態だったキッチン本体はそのまま活かすことに。吊り戸の扉もキッチンと同じペールグリーンでしたが、ラワンに取り替えて、イメージを変えています。
「自分たちでは絶対に選ばない色ですが、せっかくだから活かしてみようと、吊り収納の面材はこの色に合う色を考えました」
赤みのある木と、ブルーグリーンのタイル。ここにくるキッチン本体が白だったとしても、もちろん調和していたと思いますが、このペールグリーンの合わせ方が意外性があって、チャームポイントになっていると思いませんか?
既存を活かしたからこそ、自分たちの好みを広げてくれるような。出会いや偶然を前向きに楽しむことはリノベーションの醍醐味のように感じます。
この場所には、そんな発想で生まれたものがもうひとつ。
キッチン対面の壁、写真の右下にある、ミニテーブル。
スペースにゆとりがあったのを活かして「飲食スペースをつくれそう」と、2×4の木材から自作した半円形のテーブルを置いてみたところ、思いのほか便利だったそう。
「もし自分たちで間取りをイチから考えていたら、きっとキッチンはもっとコンパクトにしたと思うので、既存利用だからこそ生まれた発想でした」
ご両親や友人が遊びに来た時には、ダイニングを使うようにして、普段家族3人の食事はここをメインに。
食事の時間以外にも、お子さんがここで遊んでいる姿を見守りながら料理をしたり、音楽と本、好きなものに囲まれながらお酒をのんだり。小さな一角だからこそ、ついつい座りたくなってしまう、キッチンの過ごし方を広げてくれる居場所です。
和室もまた、既存を活かした部分です。
時間の蓄積を感じる敷居をまたぐと、実家に帰ってきたような、ほっとする空間が広がります。
押入れの扉が、木の襖になっているのも見た目に温かく印象的です。
以前は障子紙が貼られた襖だったそうですが、子供が破ってしまったのをきっかけに、お父様が製作したもの。
実は、奥様のお父様はエンジニアで図面を引くのも得意、手先も器用。暮らしている中で出てきた「ここにこれがあったら……」を一緒に形にしてくれるそう!DIYを積極的に取り入れた家づくりで、心強く頼れる存在ですね。
洗面スペースは、リノベーションを機に一新。IKEAの洗面台をベースに、扉をラワンに交換。塗装や把手をつける作業を自分たちで行いました。
正面の壁に使われているのは『水彩タイル』のスカイグレイ。こちらもリノベーションの工程の中に組み込んでもらい、DIYで貼り合わせたものです。
家づくりでDIYを前向きに取り入れてみようと思えたのは、リノベーションを手がけたEcoDecoさんの後押しも大きかったそう。
「ご自宅も積極的にDIYされている担当者さんのお話を伺ったり、ブログを拝見したりしていると、『私たちにもできるかも!』と思えました。やってみると意外とできることがわかって、そこからは躊躇しなくなりましたね」
壁面を活用されたインテリアからも、暮らしの中でDIYを楽しんでいる様子が伝わってきます。自分の手でできることが分かると、暮らし始めてからの家との関わり方も変わってきそうです。
そして、DIYに挑戦したからこそ、プロにお願いしないと叶わないこともあると気付いたというお施主様。
部屋を仕切る、ウォークインクローゼットをつくるなど、自分たちでは難しいことは、どこかのタイミングでまたEcoDecoさんに相談しようと、計画をあたためているそう。
最初のリノベは最小限に、暮らしながら時間をかけてアップデートしてきた家づくり。既存の良さと住まい手らしさが組み合わさって、この家にしか出せない魅力が生まれています。
伴走してくれるプロの力も加わって、これからも多様に成長を続けていくんだろうなと思わせてくれる事例です。
※こちらの事例はimageboxでも詳細をご確認いただけます。
EcoDeco(株式会社Style&Deco)/ エコデコ
中古マンションの仲介から資金計画、リノベーションにまつわるあらることをトータルにサポートすることを得意とした会社です。
コーディネーターは、不動産探しから設計まで一貫して担当できる不動産と設計のプロ。
紹介している商品
関連する事例記事


