小さな“ねじれ”がもたらす、大きな違い
東京谷中の木造密集地に建つ狭小住宅。「TWIST HOUSE」は、内壁を10度傾けるというシンプルな操作が建物全体に施された、“ねじれ”のある住宅です。
大きく傾いて見えるわけではありませんが、このわずかなねじれによって、建物の隅には三角形の不思議な空間が生まれることに。
その空間の写真はありませんが、階段室や吹き抜け、バルコニーとして活用され、そのまま建物の魅力として機能しています。
外の光をたっぷり取り入れる「光のたまり場」が生まれたり、風の通り道になったり、室内と外の間をつなぐちょっとした“中間の場所”として使えたりもするのです。
“ねじれ”が、閉ざされた住宅密集地の中で、周辺環境との新しい関係性をつくる鍵となっていました。
家の中心には、整えられたキッチン
そんな変化に富んだ空間の中で、キッチンまわりは整えられた空間として際立ちます。
間取り全体が緩やかにねじれている中でも、キッチンの床や壁のラインは比較的落ち着いており、暮らしの基点としての安定感が感じられます。
そこに据えられているのが、toolboxの『ハンマーヘッド水栓』。
ホースタイプの水栓で、握りやすいハンマーのようなヘッドが特徴です。
設計者さんからも「家の中心にあるキッチンにハンマーヘッド水栓を採用したことで、より特徴的な空間になりました」という嬉しいお言葉も。
いただいた言葉の通り。空間と水栓の相性がとても良く感じられました。
それは、「特徴的な形状でありながらも、心地よさのために整えられたかたち」という点で、この水栓が建物自体の設計思想とも重なり合うものがあったからなのかな?と、思ったりもしました。
機能と個性を共存させる、都市住宅のかたち
この住宅は、都市の中で快適に住まうための、実践的な工夫が随所に込められていました。
家の中の角度をほんの少し変えるだけで、光の入り方も、視線の抜け方も、暮らし方までもが変わる。大げさな変化ではないけれど、けれど確かに日々の居心地を左右する力を持っていました。
HAGISO
既存資源を活かすリノベーションから、新築まで手がける建築家チームです。
ストック社会における建築のあり方を見つめながら、遊休不動産の再生や、新築では地域との関係性を丁寧に読み解いた設計を行っています。
また、カフェや宿泊施設といった自社運営の経験も豊富で、建物単体ではなく、空間の使われ方や場のあり方までを含めて提案できるのが大きな特徴。
クライアントとともにプロジェクトに伴走しながら、設計から運営の視点まで含めた総合的な空間づくりを実践しています。