壁のようなカーテン
視界を遮ってくれるだけでなく、壁のように静かに佇むカーテン。
布ならではの柔らかさがありながら、どこか建材らしさを感じる力強い存在感は、カーテンと建築のはざまのよう。他のカーテンとはひと味違うものをもっています。
そんな存在感が出せるのは、帆布という生地を使っているから。
風を受けて進む船の帆に使われていたことから、「帆布(はんぷ)」と呼ばれるようになった。そんなルーツを持つ帆布は、厚手で丈夫。トートバックやリュック、スニーカーなどに使われているため、身近に感じる方も多いと思います。
そんなざっくりとした厚手の生地が好きで帆布のカーテンを探してみたのですが、ありそうでなかった。それもそのはず、ハリがあって広がるし、色落ちしてムラができるし、日焼けもするしで、カーテンには向かないものだから。
でも、カーテンってそんなに洗わないし、色褪せた帆布は味があってむしろいい。何よりこの布地だから出せる世界観に惹かれ、帆布でカーテンをつくりました。
吊り元によって変化する存在
がしっと掴んで、勢いよくばっと開ける。布を引くというよりも扉を開くような動作が似合う、丈夫で頼もしさのある『帆布カーテン』。
カーテンを閉じた時、吊り元のタイプによって表情が変わるのも面白いところです。
ドレープのないフラットスタイルは、ただ、窓を厚手の布で覆いましたと言わんばかりの潔さ。ぴしっと閉めると、まるで一枚の板のように静かに佇みます。
ヒダを抑えたことで、よりシンプルに。すっと伸びるカラーが壁面に入ることで天井が伸びやかになりますし、壁や床のように空間を構成する側となり、インテリアをより引き立たせてくれます。
ハトメスタイルは『アイアンカーテンレール』や『メタルハンガーライン』などのポールに丸い金具を通すだけで、視界を遮る仕切りになります。
機能から生まれる緩やかなうねりが、ナチュラルなウェーブを描き、空間に心地よいリズムを添えてくれる。またそのうねりに、朝、昼、夜で変わる光が当たるたび、壁面に柔らかな陰影のグラデーションが生まれ、空間に静かな躍動感も与えてくれます。
裏表が分かりにくいからこそ
ざくっとしたカジュアルな生地でも、シンプルに取り入れられるようにしたかった。そのため、裾の折り返しをわずか10mmと短く仕立てました。
生地自体に裏表がないという帆布の特性に合わせて、折り返しの主張を最小限に抑えることで、どちら側から見ても表面のように整って見えます。
部屋と廊下の境に扉を設けるほどではないけれど、空間を分けたい時。その裏表の分からなさが活きてくるのです。
洋服を隠しつつ守りたい時も、帆布が活躍します。
ジャパンメイドの8号帆布は目がしっかり詰まっているから、透けづらい。カーテンの先にあるものを透かすことなく、視線をしっかりと遮断してくれます。
薄手の布とは違う、厚手の帆布だからこその安心感。程よい厚みと丈夫さに、大切なものを守ってくれる頼り甲斐を感じます。
部屋の間仕切りとしても収納の目隠しとしても力を発揮する、頼れる「帆布カーテン」。
仕切りをカーテンにすると、扉のように開閉スペースを必要としないため、デッドスペースが生まれないのも良いところ。通路でも収納でも最小限のスペースで収まるので、開口部の端から端まで有効的に使えます。
布ならではの揺らぎで空間に柔らかさを加えてくれつつ、空間を仕切るという壁や建具のような役割を果たす。佇まいだけでなく、機能としても建材のような存在です。
暮らしに入り込む、4つの彩り
カラーは、「アイボリー」「ベージュ」「オールドカーキ」と、ちょっぴり変わり種な「スモークブルー」の4色展開。
一度洗って乾燥させるワッシャー加工を施すことで、生地に柔らかさと自然なシワ感を出し、空間に入り込みやすい落ち着いたトーンになるよう色味を整えました。
使い込んでいった先で生地が馴染み、くたっとした脱力感が出る。そんな流れもつくってくれています。
アイボリーとベージュはプレーンなカラーで空間に溶け込みやすい。アイボリーは特に光を反射させ部屋を明るくさせてくれるので、広く使っても圧迫感はありません。荒さの残るリノベーションされた空間だけでなく、新築のきれいめな空間にも似合います。
色の濃いオールドカーキとスモークブルーは、遮光性が高く、加工に頼らずとも布本来の力で光を遮ってくれます。完全にシャットアウトしなくとも、素材感を大切にしながら光を妨げたい。そんな方にばっちりはまるのがこの2色です。
オールドカーキは、角度によってはブラウンみも感じる渋くて深い色味。個人的には、緑茶というよりもほうじ茶を連想させるカラーです。ヴィンテージ家具や濃い色のフローリングに似合うのはもちろん。なんでもない空間に合わせたとしても、苦味を足したように、渋い空間へと引き締めてくれます。
スモークブルーは、カーテンではあまり見かけることのない藍を感じる落ち着いた青。藍染めや有田焼といった日本の伝統文化を連想させるカラーで、それゆえに築古戸建でよく見かける木の梁や畳など和の要素がある空間と相性が良いです。
カーテンと建材のはざまのような役目を果たす、頼もしい存在。
「帆布カーテン」というありそうでなかった選択肢が、これからの空間づくりをより柔軟にしてくれるのではないかと、期待が高まります。