鉄という佇まい
一目見て、「鉄らしいのに、なんだかきれいだな」と思いました。鉄といえば無骨で荒々しい印象すらあるのに、目の前にあるのはどこか整っていて、凛としている。
鉄は、ラフで荒々しい空間のキーマテリアルとして取り入れられることが多かったり、インダストリアルな印象も強い素材です。
そんな“鉄らしさ”と同時に感じる端正さ。矛盾するようなふたつの印象を自然に両立しているのが『黒皮鉄のテーブル脚』です。
整えられた鉄が欲しいとき
キッチンの妄想を膨らませていくと、気づけばダイニングテーブルまでこだわりたくなっていくように、内装と家具は切っても切れない関係。内装と一緒にテーブルを考えて欲しいとテーブル脚と天板を別々に売り続けている私たちですが、空間のポイントとしてテーブル脚に鉄を使いたい場合でも、ストレートな鉄の無骨さがトゥーマッチなこともありました。
例えば、綺麗なコンクリート躯体に、リノリウムの床材、ラワンのキッチンとスムースな素材で構成した空間。ポイントで鉄を取り入れるなら、“無骨さ控えめ”くらいがちょうど良い。
一言で言い表せられないような、素材やテイストをミックスした空間が増えている昨今では、整った鉄の存在があったら心強いと思うのです。
揃う美しさ、整う無骨さ
「黒皮鉄のテーブル脚」は、直線と直角で成り立つシンプルな構造。使っているのは、Lアングル鋼材というL字の建築部材で、いかにもゴツそうなのですが、角はピンと尖り、厚さはたった3mm。
接合部分に注目してみると、どこをみても面(ツラ)がぴったりと揃って美しいのがわかります。
角が内側に入る構造になっていて、輪郭はすっきり軽やか。アングル材ならではのL字形が、見る角度によって変化する少しユニークなシルエットをつくっています。
一方で、色ムラや傷など黒皮鉄ならではの表情はそのまま生かしました。全体を見るとスタイリッシュですが、近くで見ると鉄らしい無骨な質感が確かにある。
溶接痕やサビはあえて研磨し、マットに仕上げることで、住空間にも馴染みやすい塩梅に整えました。納まりが計算された空間でも、意匠を損なわず自然に溶け込む。まるで空間に合わせて設計したかのような存在感です。
端正な鉄の姿は、いわゆる無骨な鉄だったら選択肢に入ってこなかったであろうクリーンな空間にもハマってくれました。
ブラックの天板を組み合わせてつくった大きなダイニングテーブル。直線的なテーブルがインテリアの意匠を引き立て、ちらりと覗く鉄のマテリアル感は空間に新たなコントラストを与えてくれます。
凛とした空気をテーブルから
サイズは幅1200mmと1700mmの2つ。天板の大きさでサイズの微調整ができるので、暮らしに合わせてダイニングや仕事場に迎えてください。よくあるテーブル脚と違い幕板があるので、強度十分。大きな天板も大丈夫です。
幅1700mmは、4人で広々使える大きめサイズ。天板サイズ次第で2100mm程度までは可能です。オフィスの会議テーブル、ダイニングやワークスペースを兼ねた多用途の大きいテーブルとしても。
幅1200mmは、2人でちょうど良いサイズ感。ダイニングはもちろん、ワークデスクとしてもちょうど良いですし、キッチンの腰壁につけてカウンターテーブルにするなど、場所を選ばず使いやすいです。
アングル材を使うことで実現したことのもう一つは組み立て式の構造。搬入や引っ越しでも負担になりませんし、暮らしに合わない時期があればしまっておいても良い。家具は場所が変わっても長く付き合えるものだから、新たにテーブル脚をつくる上で大事にしたポイントでした。
空間のなかに静かに溶け込みながら、確かな存在感を放つ「黒皮鉄のテーブル脚」。無骨さと端正さ、その絶妙なバランスが、空間にしっくりと馴染む理由なのだと思います。
鉄のサビや無骨さが好き!というかたは、『アングルフレーム脚』をどうぞ。同じくアングル材を使ったテーブル脚で、溶接痕はそのまま、いずれサビも発生します。こちらは潔く、鉄らしさ全開です。