ツールボックス工事班によるリノベーションの実験『studyroom #1』。築50年越えのマンションで、「ReMake」をテーマに掲げ、極力壊さず、既存の内装に手を加えながら空間全体をつくり変えるアプローチにトライしています。既存フローリングを切って外したり、和天井を切り抜いたり、キッチンを半分に切ったりと、既存内装を「リメイク」するための“仕込み”も済み、現場は次のフェーズへ。今回は、電気の先行配線と水まわりの先行配管をレポートします。

電気配線は見えないところ、だからこそ整理整頓

電気の先行配線とは、大工さんが床や壁を貼り上げる前に、壁の中や床下に照明や電気設備機器の配線を通しておく工事のこと。今回、現場に入ってくれたのは、電気工事士の見田さん。「How to make」コーナーの「トグルスイッチを取り付けてもらった」「陶器スイッチをプロに取付けてもらった!」にも登場してもらっている、職人パートナーです。

「この三箇所の照明を、ここで操作できるようにしたくて」(工事班・渋谷)
「できるよ」(見田さん)
「この部分には、照明を埋め込みたいんです」(渋谷)
「できるよ。こういう照明器具があるよ」(見田さん)

相談への返答が、基本「できるよ」な見田さん、心強い。

図面に直接描き込んだり、おすすめの照明器具情報を取り出したり。現場ではiPadが大活躍。

照明やエアコン、レンジフードなど、どこに電気設備が必要になるのか、リノベ後の空間での生活動線を考えるとどこにコンセントやスイッチが必要になるのか、念入りに打ち合わせていきます。

「ここの既存コンセントは活かすの?」(見田さん)
「そこは殺しちゃおうと思ってて」(渋谷)

殺す!?とびっくりしたかもしれませんが、これは建築用語で「使わなくする」という意味。ご安心ください。

「殺される」ことが決まった窓辺のコンセント……。今までお疲れ様でした。

躯体の中を通っている配管のルートを確認したり、ワイヤーを通してつまりがないか確認したり、要らない配管や電線を撤去したり。こうやって整理をしてから、新しく配線するのです。

「床の下とか壁の中の見えないところの配線も、きっちり整理しておきたいんだよね。どこがどうなってるか把握しておけば、何かあった時にも対処しやすいから」(見田さん)

「見えないところだからこそ整理整頓」。収納術の本に出てきそうな名言です。廃棄する電線管の解体の仕方や電線のまとめ方にも、見田さんの整理上手っぷりが伺えました。

同等の長さに切られた電線管。丁寧。

廃棄する古い電線も、美しく束ねられて水引のような姿に。

新たに配線した電線はぐるぐる円にまとめられ、機器接続へ向けスタンバイ。

配線の一本一本に、何の線なのかのメモが書き込まれていました。

エアコンの冷媒管とドレンホースも取り付けが完了。ここもボードに隠れる部分だけど、整然と配線されていました。

冷媒管が鎌首をもたげた蛇みたいで、何だか迫力があります。

躯体現し・野縁現しの天井で配線を隠したい。どうする?

一方、工事班の渋谷は、天井の野縁から吊木を外そうとしていました。

「電線を野縁の上に這わせて、隠れるようにしたいんですよね。吊木に欠き込みを入れたらできそう!」(渋谷)

長い角材が野縁で、それとコンクリート躯体の天井の間に挟まっている短い角材が吊木。

壊さずに吊木を外すことができました。ノコギリやノミを使って、欠き込みを入れていきます。

できた!

それを、欠き込み部分に配線が通るように、再び天井に取り付けて……。ブラボー!配線が野縁に隠れて、すっきりした見た目になりました。

言われなければ気づかないような地味な箇所だけど、「既存を活かすリノベ」だからこその工事班のこだわり。

掘る、切る、炙る!?「つなぐ」だけじゃない配管工事

続いての工事は、水まわりの先行配管。壁の中や床下に給水ホースや排水管を整えておく工事です。Vol.3で既存フローリングを切ったのは、この工事のためでした。作業してくれるのは設備屋さん。キッチンやトイレ、バス、洗面など、水に関わる設備の工事を行う専門業者です。

「ここに配管が来て欲しくて……」と設備屋さんに説明。どう配管するか一緒に確認していきます。

現場に「ジィィィィィィ」という音が響いてきました。音の主はコアドリル。浴室を囲むコンクリートブロック壁に給排水管を通す穴を掘る、「コア抜き」と呼ばれる工事です。音のボリュームは意外にも控えめ。前回の、キッチン天板を切る時の方が激しかったです。

あっという間に小さなトンネルが貫通しました。

某有名アニメのネズミが顔を出しそうなサイズ感。

トイレでは、設備屋さんが何やら考え込んでいます。便器と排水管をつなぐ部分に入れたい塩ビ管が、なかなか入らない様子。一体どう解決するのか、見守っていると……

設備屋さんが取り出したのは、えっ、バーナー!?

なるほど、塩ビ管を火で炙って柔らかくするという技。まさか配管工事で火を見るとは思いませんでした。熱で柔らかくなった塩ビ管を、玄能で叩いて押し込んで……

おさまりました!お見事です。

今度はキッチンの配管。水道用のポリ管を通すための穴を床に開けていきます。

そこへポリ管をねじ込んで、床下をあらわにしたところに引っ張り出したいのですが、押し込めど押し込めど、ポリ管が出てきません。床下を覗き込むと、どうやら床下の根太に引っかかっているよう。

そこで設備屋さんが打ち出した一手は……、「床を切る」再びッ!

床下の根太を避けながらポリ管を通して、無事、設置できました!想定外の箇所を切ることになったけど、ここはキッチンを設置して隠れるので問題なし。後日、大工さんに塞いでもらいます。

浴室まわりの配管も完了。青いポリ管とピンクのポリ管と排水管。どこが何に繋がるのか、わかります?

隣の和室から見るとこんな様子。和室と浴室側の間に開けた開口の前に配管が立ち上がっていますが、ここがどうなっていくのかは、今後をお楽しみに。

計画していた通りに床下を走っていく配管たち。内装を変えていく準備がいよいよ整ってきました。それでは、次回も現場からお届けします。

ツールボックス工事班|TBK

toolboxの設計施工チーム。

住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。

 

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※毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。

見田諭 (有限会社本間電気)

toolbox工事でお世話になっている電気職人さん。
露出配管をきれいにおさめてくれるリノベーション工事の頼れるパートナー。

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テキスト:サトウ