『木の手摺』をつくっているのは家具職人の瀬尾洋介(せおようすけ)さん。手摺って家具?なんて思うかもしれませんが「手摺は家具に近い存在。」そう職人さんは話します。
家具を極めた職人だからこそつくり出せた、思わず触れたくなるような手摺。その手摺が生まれる過程を知るべく、製作現場を見せてもらいました。
ちなみに、瀬尾さんは、toolboxのサイトができたての頃に知り合い、今となってはtoolboxメンバーの一人といっても過言ではないくらい苦楽を共にしている仲です。
探し求めていた理想の手摺
手摺本体だけでなく、それを支えるブラケットも同じく無垢の木で作られている「木の手摺」。
無垢ならではの重厚感があり、木ならではの温かみと手触りの良さを併せ持った一品。
toolboxが関わったあるプロジェクトをきっかけに生まれたものなのですが、その出来栄えの良さから自然な流れで商品化に至りました。
探しても意外と見つからなかった、私たちが理想としていた手摺はまさにこの手摺だったんです。
ラフな材料に驚き
下の写真の右側3本が「木の手摺」の材料。
この状態を見ると随分ラフな印象ですよね。完成形の手摺の滑らかさが想像つきません。
ここから切り出し、滑らかにするためのやすりがけや面取りを行い、塗料を塗って仕上げていくんだそうです。
焦がさないテクニック
焦がさないって何を?って思いましたよね。
長い材料をカットするときはテーブルソーという工具を使ってカットするのですが、この手摺で使っているような比較的硬い木材をカットするときは、カッターと木材との間で摩擦が生まれ、木材が焦げてしまうことがあるんだそう。
一気にカットしようとすると摩擦が増えるので、瀬尾さんはできる限り焦がさないよう、同じ場所を3回に分けてカットしていました。
3回に分けても、下の写真のように少し焦げてしまうこともありますが、これくらいであれば想定内。
もともと焦げること前提に数mm大きめに切り出しているため、その後薄ーくスライスすることできれいさっぱりに焦げた部分はなくなります!
どうせ焦げるなら一気に1回でカットしたって同じじゃない?と思うかもしれませんが、1回でカットしてしまうともっと深いところまで焦げてしまうので、薄くスライスするくらいでは焦げが消えないのだそう。
3回に分けてカットするのは一見、手間に思えるかもしれませんが、材料を無駄にしないためには、とても大事な工程なのです。
丁寧に丁寧に角をとる
手触りの良い手摺をつくるため、トリマーという機械を使いスルスルと角を取っていきます。
トリマーは、最初に調整さえ終えれば、あとは角を取りたい箇所に添えて動かしていけば面取りができるという優れもの。
瀬尾さんは木材の状態を確認しながら丁寧に丁寧に面取りをして行きました。