私たちは、「日本の住空間に楽しさと豊かさをもたらす」というミッションを掲げています。
そのミッションを達成すべく、ストア事業と空間事業、メディア運営という3つの軸を持ってビジネスを行っています。

ミッションの背景にあるのは、画一的な日本の家づくりに対して、もっとユニークな選択肢を提示して、住み手が自ら家を編集するカルチャーを広げていきたいという想いです。
私たちは、ミッションを実現できる組織でい続けるために、入社直後から「ニューカマープログラム」という研修を経てから実業務に取り組んでもらっています。
今回はそのプログラムを深掘りします。

組織になるための初めの一歩「ニューカマープログラム」の誕生

私が入社した9年前は、入社直後の研修のようなものはなく、働きながら理解をしていく日々でした。
その頃はまだ社員数も20名未満で、それぞれがやっている仕事にも目が届いていたのだと思います。今となっては、実践ありきの刺激的な毎日が面白かったとすら感じます。

けれども、20名を超える頃に、オフィスを移転し、広々とした空間を見た時に、会社が大きくなっていく未来を感じ、このままでいいのか?という漠然とした疑問が湧きました。
事業を成長させ、組織になっていくためには、スタッフ一人一人が早期にコミットできる体制を持っていた方が、よりミッション達成に近づけるのではないかと思ったのです。
入社時にTOOLBOX独自のプログラムを実施するきっかけの一つだったような気がします。

そこから、右も左も分からないながらも、自分自身が入社時に知っておきたかったこと、これから入社するスタッフに知ってほしいことをまとめ、バージョンアップを重ねてきました。

そうして出来上がったプログラムも、運用し始めて7年が経ち、社内では「ニューカマープログラム」と呼ばれています。

一般的にこういったプログラムは「新人研修」と呼ばれますが、それに個人的に違和感を持っていました。

様々な力を持ち、会社をより盛り立てて前進するために必要な人材。彼らに期待を込めて実施するプログラムにはどんな名前がふさわしいだろう?そんなことを考えていたときに、「ニューカマー」という言葉が降りてきました。期待の新星っぽくて、プログラムに参加する側も楽しめそうで、実施する自分自身もプログラムを大事にしていけそうだと考えて、このように名付けています。

プログラムの内容としては、メール対応やショールームでの接客、コンテンツ制作、空間づくりの現場訪問など、OJTのような要素があります。同じ会社で働くメンバーの業務内容を知ることで、お互いを尊重しながら働けるはずという想いから企画しました。
他にも自社で契約している倉庫を訪れ、多くの人の支えがあって事業が成り立っていることを知る機会も設けています。

プログラムのテーマはアンラーン

プログラムを始めてから何年か経ちスタッフと向き合っていくなかで、前職での経験が時に足枷となってしまうことに気がつきました。
そんな折に、アンラーン(Unlearn)という言葉に出会いました。「学びほぐし」とも訳されます。
これまで学んできた知識や価値観、思考パターンを意識的に捨てることを意味しています。

アンラーンを促進するプログラムとして象徴的なのは、「事業レクチャー」です。

これは、TOOLBOXがなぜ始まったのか、何を大事にしてビジネスをしているのか、目指したい世界はどこなのかについて、代表の荒川が語るものです。
全4回のうち3回は、動画を見てもらい、疑問点があれば都度ニューカマープログラムの担当者と対話をして認識をすり合わせます。
4回目は総括として、荒川と直接対話をする機会になっています。

動画視聴に関しては、ただ視聴して終わってしまうことがないように、プログラム担当者との対話の中で、今までの経験とTOOLBOXからの期待のギャップを見つけられるように寄り添っています。
それを自覚することで、今までとは異なる価値基準の中で、自分で考え仕事に向き合うことができると思っているからです。

また、事業立ち上げ当初の想いは?なぜ今期はこの事業方針ができたのかなど、荒川とブレストする機会はどのスタッフにおいても学びがある時間のようです。
感想を聞いてみると、「会議のあの発言の意図がわかった。」「目指していることに対してとても共感しました。」「もっと自分から考えて動けるようになりたい。」など、前向きな言葉をもらうことが多いです。
その時間があるからこそ、新たに目指すべき方向を定めて仕事に向き合えるようになるのだと思います。

自分の中に潜む理想の暮らしをアウトプットする

もう一つ、独自のプログラムとして「理想の家」というものがあります。
自宅、実家、これから購入したい家、なんでも良いので自分の理想を詰め込んだ家を考えて発表してもらいます。内装も間取りも自由、一点、自社の製品を内装に盛り込むことは必須としています。

このプログラムは、2つの目的から生まれました。
1つ目は、お客様の立場になってみることです。
家をつくろうとすると、考えることがたくさんあります。
使ってみたい建材がたくさんあるし、組み合わせに迷うこともある。
TOOLBOXが日々向き合っているお客様の想いに気がつく時間になっているなという実感があります。

2つ目は、住宅空間に向き合い自分を客観視することで、家に対する自分の趣向を知ることです。

いざ、理想の家を考えると、どういった素材が好きなのか、光が欲しいのか、1人になりたいのかなど、様々な観点から悩みが出てきます。
これらを突き詰めていくと、人によって大事にしているポイントは見事に異なっていることに気づきます。
素材の組み合わせや、間取りの作り方などに対して、それいいじゃん!と意見を交わし盛り上がる時間でもあります。

住宅における自分のこだわりを見つけてもらい、家づくりに関心を持ってもらうことは、TOOLBOXで働いていくためのモチベーションの1つになると信じています。

自分自身を再編集する3ヶ月

ニューカマープログラムの3ヶ月を終える頃に、プログラムの担当者との1on1を行っています。
その際に思うことは、スタッフの中に、ほどよい焦りが生まれているということ。
それは、会社にコミットしたいという欲求の現れと捉えています。

「早く、基礎的な仕事を覚えて一人前になって、そこから自分らしさのある接客をしたい。」
「今あるコンテンツだけではなく、自分の視点を活かしたものをつくりたい。」
「自分のポジションを確立していくために、何ができるのかを考え続けたい。」
ほとんどのスタッフが、こういった主体的なイメージを語ってくれます。

前職含め、今まで身につけてきた自分の強みを使って、何ができるのか。
TOOLBOXは何を大事にしているのか。
それらを掛け合わせると自分は何を成し遂げていけるのか。
過去の成功体験に縛られず、3ヶ月という時間を使って、自分自身と会社に向き合ったからこそ、これからの未来について思い描くことができるのだと思います。

今では、従業員数も50名を超えました。改めて数字を見ると、本当に?と思うくらいです。
始めは年に1回プログラムを実施していましたが、今では年に3回実施することも珍しくなくなってきました。TOOLBOXが次なるフェーズへ進んでいる実感を得ます。
きっとニューカマープログラムもどんどんアップデートされていくのでしょう。
私たちなりのユニークさは忘れずに、組織としてのまとまりをどう形作っていくのか楽しみです。

 

テキスト:タナカ