まずは、やってみる。手探りの取り付け現場

家具・建具設置のフェーズに突入し、いよいよ追い込みとなった『studyroom#2』。現場には、もはや常駐状態となっているツールボックス工事班の田井の姿がありました。

先日、工場へ受け取りに行った開発中商品のスチールドア。その取り付け作業をしていました。

『studyroom#2』の施工管理を担当する田井。養生・搬入・清掃・取り付けまでこなし、現場の“何でも屋”と化しています。

試作ということもあり、今回は工事班が取り付けを担当。実際に自分たちで作業をしながら、取り付けの手順や必要なパーツを確認していきます。

こうして得た気づきはtoolboxの商品開発チームに共有され、商品として展開していく際の参考として活かされます。

『studyroom#2』のプロジェクトマネージャーを務める、工事班の一杉も登場。作業感をシェアします。

今度は壁に、謎の金物を取り付け始めた田井。

横一列に金物を取り付けたら、その上に板を載せる……んじゃなくて、差し込んでる!?

水平ラインを出したら、金物を壁に固定。

金物の棒部分を板にブスッと!

すると、壁面に浮いているような棚が完成!

これは「インロー」と呼ばれる、凸と凹の部材を組み合わせて固定する取り付け方法。あらかじめ穴を彫った棚板を、金物に差し込んで施工します。水戸黄門の印籠のような入れ子構造をしていることが、その名の由来。

一丁あがり!「インロー」は、棚受けが表に露出せず、すっきりとした見た目の棚を実現できる方法。

実はこちらも開発中のアイテム。金物と穴あけ加工済みの棚板をセットにして販売する予定です。棚板の穴あけ加工を別途手配する必要がなく、下地を入れた壁の仕上げ面から取り付けができるアイテムです。

「開発中でまだ施工要領書もないんで、職人さんに頼むにしても、方法や手順は考えとかなとおもて、まず自分で取り付けてみたんよ。取り付けのビスも、行きつけのホームセンター行って、この金物に合うものを探して買うてきました」(田井)

必要なパーツの検討のほかにも、施工箇所の状態との相性、施工のしやすさ、などなど……。実際に「やってみる」ことで見えてくることが、現場にはたくさんあります。

ビスひとつ選ぶにも、今回の現場の壁面だけでなく、さまざまな施工シーンを想像しながら。

大物の試作、キッチンキャビネットが現場に到着!

一方、玄関では、『studyroom#2』の内装設計を担当した商品開発チームの山下が、試作のキッチンキャビネットの搬入を見守っていました。キャビネットとして開発中のアイテムをキッチンの下台として設計し、特注したものです。

山下はこのアイテムの開発担当者でもあり、「無事に届くのか、ちゃんと設置できるのか、緊張して昨日は眠れなかった……」と、そわそわ。

3人がかりで慎重に搬入。ハラハラしながら見守る山下。

共用通路を抜け、玄関ドアと廊下もクリアーして、キッチン設置場所に無事、納品!

もちろん事前に搬入経路と荷物のサイズは確認しているものの、大物を搬入する時はドキドキします。

フラットレンジフード』もすでに取り付け済み。いよいよキッチン本体設置です。

そして、ブルーの養生シートを剥がして現れたのは、オールステンレスのキャビネット。

「うわーーー!かっこいい!!」

無事に納品された安堵と、睡眠不足も相まって、テンション高めに養生を剥がしていく山下。

ダイナミックな動きからも、山下の喜びが感じられます。

山下は“メタル好き”。と言っても、金属のほうのメタル。

ステンレスの質実剛健さを感じる『業務用キッチン』や『スクールシンク』も、山下が開発を手がけた商品です。

そんな山下が、こだわりを詰め込んだ今回のステンレスキャビネット。バイブレーション仕上げの静かな表情と、溶接痕をあえて見せた平蝶番のいかつさ。そのギャップが、このキャビネットの魅力です。

開発者・山下こだわりの平蝶番。工業製品好きは萌えそうなディテール。

順調に進んでいたキッチン設置でしたが、ここで「ふんぬーーーーー!」という踏ん張り声が。

声の主は一杉。キャビネットの高さ調整アジャスターが、固くて回らない。

「パワーーーーー!」と叫びながら力一杯アジャスターを回そうとするも、微動だにせず。

そこへ、「ちょっと貸してみ」と田井。

(〜1分後〜)

「硬い床に置いてプライヤーで回したら動いたわ」とあっさり解決。さすが、現場歴40年のベテラン。冷静です。

高さ調整アジャスターをいじって、水平レベルもピッタリ合いました!

「思い描いていたアイテムがこうして形になると、テンションが上がりますね。ただ試作をつくるだけじゃなく実際の空間に設置するから、搬入や設置のしやすさなど、いろんなことに気づくことができる。お客様の空間づくりでは試作の提案はなかなかできないから、今回のプロジェクトでこういうトライができてすごく良かった。商品化はもちろんしたいけど、どうなるかな(笑)」(山下)

商品化するかもしれないし、しないかもしれない。けれど、こうしたトライは、確実に“次”につながっていきます。

キャビネットを見てニヤつく山下。ここに『マットカラーのキッチン天板』と『クォーツシンク』が合体します。

ビス隠し、3ミリ切り。現場で積み重ねる“微調整”

続いて工事班が取り付けに臨むのは、こちらも開発中の商品である、木製パーティション。

「仕切りたいけど、開放感は欲しい」。そんな場面を考えて、toolboxでは『木製室内窓』や『木製ガラス引き戸』『室内アルミサッシ』など、空間を間仕切りしながらも抜け感をつくる商品をさまざま展開しています。

こちらの木製パーティションも、そうしたラインナップのひとつとして開発を進めているアイテム。

ぽっかり空いている上部にはガラスが入ります。

「鏡板を外した状態で納品して欲しいって工場にお願いしてたけど、付いてきちゃったね」
「……付いてきちゃいましたね」
「外れてる状態やと、見えへんとこで固定しやすいんやけどな」
「商品化するときは、そこ大事ですね」
「なるべくビスが目立たない固定の仕方、ある?」
「あるよ」

本来は、鏡板と中央の横桟を外した状態で納品され、鏡板で隠れる部分にビスを打って、床や壁に固定する想定でした。しかし今回の試作品は、鏡板と横桟が固定された状態で届いてしまいました。

試作では、こうした想定外はあるある。

試作の取り付けは、「これが商品だったら」の目線が大事。

木製パーティションの取り付け位置が確認できたので、軸材だけ先に壁に固定して、その横の壁仕上げに取り掛かる田井。

塗装下地が塗られて白っぽかった板壁材は、カーキっぽいグリーンに変貌していました。リブが立体的な陰影をつくる板壁材と「色」の組み合わせは、空間のいいアクセントになりそう。

この板壁材も開発中の商品。好きな色に仕上げられる塗装下地付きと無塗装を販売する予定。

板壁材の貼り付けが終わったと思ったら、今度は長い角材をカットし始める田井。これは、先ほどの木製パーティションの軸材。

「3ミリ、3ミリ、3ミリ……」とブツブツ。

なんでも、軸材を取り付けようとしたところ、ほんのわずかだけ長くて、天井と床の間にはまらなかったのだそう。

図面通りにつくっても、実際の現場では数ミリ単位の誤差が生じることがあります。そうした差異を見込みながら納まりを調整していくのが、現場の仕事。

数字をブツブツ言ってるときに話しかけてはいけません。ましてや「3ミリ」カット。集中、集中!

そうしてカットした軸材を持って取り付け箇所へ。

さっきは天井に突っかかって垂直に立たなかった軸材。今度はどうだ!?

田井のサポートをしているのは新卒研修終了後、工事班に配属されたニューフェイス、前田です。

「よっしゃ。いけた」

パチパチパチ。空間づくりの裏側には、こうした数ミリ単位の調整の積み重ねがあります。

軸材を立てたら、もう一枚の木製パーティションを取り付けます。

完成直前の「ちょっと違った」。じゃあ、塗り直そう!

工事の進行予定を記した「工程表」ではあと2日で工事完了、というこの日。現場は追い込み!

工事班の田井、家具工事の職人さん、そして塗装職人さんが現場に入っていました。

木製パーティション、ついてますね!

塗装職人さんは、板壁の前で作業準備。すでにグリーンに塗り上がっているのに……? 実は、板壁材を貼り上げた状態を見た山下から、まさかの「塗り直し」のリクエストが入っていました。

山下に理由を聞いたところ、「自分で指定した色だったけど、貼られている状態を見たら、もう少し彩度を抑えた色にしたいなと思って」。

空間の全体像が見えてきたからこその、「ちょっと違う」。現場の効率や進行、コストを考えれば、「このままいく」という選択もあるかもしれません。それでも今回は、内装設計を担った山下のこだわりを貫きたい!と、職人さんに再塗装をお願いしました。

「あのスチールドアの色との相性を考えると、このグレーいいよね」と快く再塗装に応えてくれる職人さん。

ふと職人さんの足元を見ると、タイヤの付いた謎の物体が。これは……?

「それ? 俺のマセラティ(笑)」

その正体は、園芸用の腰掛け台車。イタリアのスポーツカーブランドのエンブレムシールを貼ってカスタマイズしたのだそう。

低い位置で作業するときに腰掛けて水平移動したり、道具を置いたり。現場での頼れる相棒なんだとか。

知恵と工夫が詰まった「職人さんの道具シリーズ」。今回の道具は仕事が楽しくなる遊び心も備えていました。

現場は、完成2日前とは思えないごっちゃり具合。

別の場所では、家具工事の職人さんが建具の加工をしていました。よく見ると、こちらの部屋にもまだ仕上がっていない壁が残っています。

資材や工具の隙間で、山下がこっそりリモート会議をしていました。大事な最終局面、現場から離れられません!

次回、『工事班の現場通信 studyroom#2』vol.5では、完成した空間をお披露目予定!

果たして無事に出来上がるのか——? その結末をお楽しみに。

「現場感」たっぷりのこの空間が、どう変わるのか。

ツールボックス工事班|TBK

ツールボックス工事班|TBK

toolboxの設計施工チーム。住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。

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テキスト:サトウ