撮影:aki kaibuchi

賃貸物件に家族4人で暮らすお客様。入居時に大家さんに改装を相談、原状回復なしで許可をもらい、自分たちで改装をしてきました。

プランに変更がある場合は仲介業者を通して伝えてもらったり、ガス・水道などの配管まわりはプロの手を借りながら少しづつ理想を叶えてきたそう。

「10年前は今ほどまだDIYの認知度も低く情報も少なかったですが、大変そうという気持ちはなく、どこまでも自分たちでやってみたい!という気持ちが強かったです。」

その言葉の通り、アイデアとひらめきを大切に「まずはやってみる」精神と、とことん自分たちの使い勝手を追求する姿勢。なんだかすごくパワフルな家づくりだ!とお話を聞いて感じました。

手書きの設計図にはしまいたいものの寸法まで!

手順も細かく設計図に。こうして残しておくと、後から振り返るいい思い出にもなりそうです。

場所ごとに、完成した今の状態と、そのこだわりを見せていただきましょう。

家の顔にもなっているのが、床から天井いっぱいまである大きな壁面収納。

撮影:aki kaibuchi

元々は何もないただの白い壁。背面はビスを打てないコンクリート壁のため、軸となる壁を立てて、そこに棚板を固定することで、強度を持たせました。

子供の手の届く場所には、おもちゃ専用収納スペースも完備されています。

撮影:aki kaibuchi

入れるものや場所が変わっても、対応できるように棚は無印良品の規格サイズに揃えているそうで、先々の運用まで見越した計画でつくられています。

そして、壁面収納の隣にある間仕切り壁。片側をアールにしたつくりが目を引きます。

撮影:aki kaibuchi

こちらは、撤去できない四角いコンクリートの躯体壁だったところ。「丸くするのはどうだろう?」と、ある日ひらめいたものを形にしました。

壊せない壁が、空間を象徴するようなゲートに。一角を丸くするだけでも、光の反射や雰囲気がとても柔らかくなりますね。

撮影:aki kaibuchi

アールの壁越しに広がるのがリビングです。

撮影:aki kaibuchi

リビングの広さぴったりにつくられた、小上がりとピアノ台。最初から造作したかのような馴染み具合ですが、こちらも住みはじめてから、自作したもの。

撮影:aki kaibuchi

床下収納として、人が集まった時のベンチとして活躍する広い小上がり。木と馴染む色合いの置き畳は、ゴロゴロするのに最適な素材です。

ピアノ台は、使う時に中央の棚板を引き出す仕様。

撮影:aki kaibuchi

「サンタさんからもらったピアノに自然と触れて欲しい」と、お子様と同じ目線の高さに置いているんだそう。上部は季節の枝物や、思い出を飾るスペースとして活用されています。

お部屋の広さや、使い方に合わせて考えられるのはDIYならでは!暮らしながら「ここをこう使いたいな」とじっくり計画された様子が伝わってきます。

ダイニングに戻って、先ほどの壁面収納対面には、キッチンがあります。

撮影:aki kaibuchi

コンロ・シンク・カウンター兼作業台がコンパクトに集約されたコの字型のキッチン。動線も短く、とっても使いやすそう。

ガスや水道工事をプロにお願いしつつ、その他の部分を自分たちで造作しました。

オープンなキッチンですが、一歩中に入るとタイルの壁面に囲われ、料理に没頭できる空気も。

撮影:aki kaibuchi

「造作は収納という面で、自分の持っている物や、これから欲しい道具に合わせて、とことんつくり込んでいけるので、無駄がなかったなと思います」とお客様。

その言葉の通り、きっちり割り付けされた下部の収納からは「ここにはこれをしまって、こう運用していこう」という綿密な計画が見え隠れしています。物があるべき場所に収まっている様子はとっても気持ちがいいですね。

洗面台も、自分たちで造作したもので、こちらもまた無印良品のボックスがピタッと収まる寸法で計画されています。

撮影:aki kaibuchi

撮影:aki kaibuchi

壁面には『水彩タイル』ボーダーのスカイグレイを選んでいただきました。

「数あるタイルの中から、toolboxさんでひとつは購入させていただきたいなとショールームにも足を運ばせていただき、決めたタイルです。ふんわり綺麗な色目で、空間をとてもスッキリさせてくれます」

キッチンの右側からは、玄関に繋がる廊下ともう一つ、細い路地のような通路が伸びています。

撮影:aki kaibuchi

細長さの理由はこちらのウォークインクローゼットに。しまいたいものに合わせて寸法を決めて行った結果、この通路幅になったそう。

撮影:aki kaibuchi

撮影:aki kaibuchi

床には『黒木フローリング』を選んでいただきました。

「お手頃ながらに存在感があり、LDKと貼り分けて使わせていただいています。ノコ目のラフ感もありながら、裸足で歩いた時の柔らかい感じが大好きです」

「黒木フローリング」を貼った洋室は、お部屋いっぱいにベッドを敷き詰めた寝室になっています。フローリングが見えるのは細い通路とクローゼットだけになってしまったそうですが、足裏から伝わる感覚の変化によって、気分も切り替えられそうです。

なにより、細〜い路地を抜けた先に、部屋いっぱいに敷き詰められたフカフカのベッドが待っている……この景色がたまりません。

撮影:aki kaibuchi

撮影:aki kaibuchi

収納の裏面は、リビングで使ったフローリングの余りで装飾。天井いっぱいまで仕切らず、頭上に抜けを残しています。

ヘッドボード代わりに塗装したアクセントカラーと合わさって、明るく気持ちの良い空間に。

撮影:aki kaibuchi

寝室と玄関の間には『木製室内窓』を使っていただきました。

元々はドアがあった場所ですが、撤去した後の寸法にピッタリはまった「780角 引き違いタイプ」を大工さんに取り付けてもらったそう。

「まさにうちの顔です。家に入るとすぐに目に飛び込んでくるので、遊びに来てくれた方々皆いいねと言ってくださいます。

寝室へのアクセスは扉を無くして細い通路としたので、秘密の場所っぽくもありつつ、この窓で暗くもならず。なくてはならない存在です!」

撮影:aki kaibuchi

こちらが玄関から見た景色。

帰りが遅くなった時は、玄関扉をそーっと開けて家に入り、まずいちばんに子供たちが寝ている様子を窓から覗くのだそう。室内窓があるからこその空間の繋がり方です。

撮影:aki kaibuchi

寝室のアクセントカラーが切り取られて見えるのも、とっても印象的。室内窓があることで、廊下側の景色にも変化が生まれています。

撮影:aki kaibuchi

結婚して、子供が産まれてから10年間、住みながらコツコツと育ててきた家。実はこの春に中古戸建てを購入し、この家での暮らしも卒業を迎えたそう。

「黒木フローリング」の余りでつくった洗面所の棚は、次の家に一緒に引越し。

撮影:aki kaibuchi

「さすがに床は剥がして持って行けないので、少しでも思い出が持ち出せてなんだか嬉しい気持ちです!」と、選んでいただいたアイテムへの愛を感じるエピソードもいただきました。

次の家も10年計画で改修を考えているというお客様。家族のライフスタイルも変わり、より一層パワーアップした家づくりをされていくんだろうなぁと、想像してしまいます。

※こちらの事例はimageboxでも詳細をご確認いただけます。

紹介している商品

FL-FL023-01-G181
¥5,900/㎡
DW-DR008-01-G164
¥72,000~

お客様のDIYの記録と、新居での家づくりの様子は、こちらからご覧いただけます。

テキスト:岩崎

関連する事例記事

既存のポテンシャルを活かして「プチリノベ」。住み始めてからも変化を続ける家づくり
既存のポテンシャルを活かして「プチリノベ」。住み始めてからも変化を続ける家づくり
「間取りや水まわりを大きく変えなくても叶えたかったことは実現できる」と、フルリノベではなく、プチリノベという選択をしたお施主様。既存の良さを積極的に活かしたからこそ生まれてきた唯一無二の魅力に溢れたお家です。
オーナーが願う「こんな風に暮らしてほしい」
オーナーが願う「こんな風に暮らしてほしい」
オーナーが自らも住まう団地の空き部屋を再販売用に購入、新しい試みを始めました。こんな住人に住んでほしい、と思いを巡らし参考にしたのは、オーナーが学生時代から何度も現地を訪れた国、スウェーデン。手持ちの北欧家具と一緒に住んでほしい、と願い選定してくれたtoolbox商品を紹介します。この団地物件は販売もされているので、最後に物件情報を掲載します。
古くて新しい
古くて新しい
水平と垂直が美しいキッチン。天井スリットファンをレンジフードとして見立てた工夫がありました。
限られた敷地で実現した、暮らしの機能と余白が織りなす豊かな暮らし
限られた敷地で実現した、暮らしの機能と余白が織りなす豊かな暮らし
キッチンや洗面、洗濯機置き場などの水回りを「ユーティリティ」としてまとめ、機能面積を節約。その分、大きな余白空間を設けることで、暮らしにゆとりと豊かさを生み出した事例です。