小さな存在、期待は大きく
扉を開閉する手がかりとなるつまみ。家づくりにおいては、中心ではなく周辺にあるもので、必ず必要というより、遊びや飾りの要素が強いパーツかもしれません。
だからこそでしょうか、細部まで気を配ってつくりこまれたものに出会うとグッときてしまいます。たとえそれが量産されたプロダクトであっても、その裏側にある熱量を知ると特別なものに思えてくる。
どんなに小さなパーツでも、自分の家に迎え入れるものだから、せっかくならつくられる背景も含めて良い佇まいのものを選びたい。
こうして言葉にしてみると小さきものに込めた期待の大きさに気が付きます。そんな期待に応えてくれそうな『オヨンミンつまみ』。
名前でお察しの通り、韓国で見つけました。
手で目で触れるものだから
一目で印象的なのが、ボードゲームの駒のような愛らしい形。
適度に重みがあり、滑らかな触り心地は陶器のようにも感じますが、実際は金属を削ったものに、塗装をしてつくられています。
つくっているのは、6人ほどの職人が働く製造所。訪問するまでは、特別な機械を使っているのかと思っていましたが、実際には機械で削り出した後にひとつずつ手作業で研磨して仕上げるという、手数が多く入念な工程で生産されていました。
「長い時間、手に触れるものなので、触り心地は大切にしています。角張った見た目であっても、小さく角を落して、触れた時の柔らかな感覚を守っています」と、代表のオヨンミンさん。
ここまでの手厚い加工は、大量生産を目的にするとできない部分。だからこそ、違いを出せるように大切にしていることだと教えてくれました。
家づくりのパーツとして手に取りやすい価格を守りながら、ここまで人の手が掛けられているものは中々見つけられません。
手にして、目にして感じる加工の細やかさが、このつまみ特有の存在感に繋がっています。
限りなく白に近しいアイボリー
柔らかな形を引き立てているのが、塗装の色味。白の中に黄色を一滴たらしたような、優しい色をしています。
韓国では、家具や小物が映えるよう、背景となる壁や扉は白を基調にすることが多いといいます。とはいえ、白の中にも色々なトーンがある。「純白よりの白では喧嘩してしまうところには、どんな色がいいのか?」と考え生まれたのがこの色でした。
日本で見るつまみは、はっきりとした白が多いこともあって、この色味がとても新しく映ります。
表面は、パッと見て塗装と気づかないくらいムラなく滑らか。
「外注をしているとどうしても塗装のばらつきが出てしまう。自分たちで最終的な仕上がりを決められるように、自社で塗装まで行うようにしました」と、塗装についても、仕上がりへのこだわりが込められています。
実際にお客様が気づくかどうかの細かなざらつきさえも、自分たちが気になるものは徹底して改善。どうすればより良いものが届けられるかと、日々試行錯誤を繰り返している。そんな姿勢から、ものづくりに対する信念を感じました。
海を越え、選択肢を広げる
手間のかかる工程というだけあって、一日に生産できるのは100個ほど。納得できる品質を担保するためにも、今の規模を大きくすることは考えていないと話すオヨンミンさん。
規模を大きくしないことで、使い手からの声や反応を受けて次のものづくりに繋げることもできると言っていたのが印象的でした。
「特に木との馴染みの良さにもこだわって考えた色でもあります。韓国よりも木がよく使われる日本の住宅において、このつまみがたくさんの空間バリエーションをつくる存在になれることを期待しています」今回、日本で初めて販売するにあたって、どんな使われ方をするのか楽しみだと期待を寄せていました。
そんな思いも含めて、絶対に日本の住宅にも届けたいと思った「オヨンミンつまみ」。仕上がりから滲み出る実直な佇まいは、私たちの日常をゆっくりとアップデートしてくれるはずです。
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