キッチンのレイアウトには、I型やL型などさまざまな型がありますが、シンクとコンロを二列に分けた「Ⅱ型キッチン」は、限られた空間でも効率的にキッチンを配置できるスタイル。間取りの自由度も上げてくれるので、自分の使い勝手に合わせた動線や家族の暮らしに合わせた空間が計画できるのが魅力です。そんな「Ⅱ型キッチン」で叶えた、アイデアがある間取り実例を紹介します。

作業面も収納も動線も。小さな空間で欲張りキッチンを叶える

シンクとコンロを一直線に並べるI型に対して、それぞれを分けて配置するⅡ型は、キッチンの“幅”をコンパクトにできるのがポイント。この特徴が特に活きるのが、「間口の狭い空間」です。限られたスペースの中、Ⅱ型キッチンを取り入れて、広がりを感じる空間を叶えたケースをみてみましょう。

case1 明るい窓辺に、キッチンとダイニングを寄せて。回誘動線で広がる住まい

(写真提供:ゼロリノベ

家族4人が暮らす61㎡のマンション。間口の狭いスペースに、キッチンとダイニングスペースをつくるために、シンクとコンロを分けたⅡ型キッチンを採用。ゆったりしたリビングと、気持ちのいい窓辺の食卓を叶えました。対面式にしたシンク側は奥行きをたっぷりとり、広い作業面とリビング側収納も確保。作業をしながらテレビを見たり、家族との会話も楽しめます。

さらに、シンク側とコンロ側の間を抜けて、キッチン〜洗面脱衣所〜廊下へとつながる回遊動線を設計。炊事・洗濯といった家事のしやすさはもちろん、家族の行き来にも便利な、開放的で奥行きを感じる住まいになりました。

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case2 家具のような木天板キッチンがつくり出す、LDKの一体感

(撮影協力:リビタstudio niko

「キッチンが暮らしの中心になる住まい」をテーマにリノベーションした空間。だけど、キッチンをレイアウトしたいスペースの間口はわずか3.5m。シンクとコンロを一列に並べたI型キッチンを対面式にすると、幅が長くなって腰窓にぶつかってしまうため、Ⅱ型にすることでその問題を解決。キッチンをぐるりと回遊できる動線も叶えました。

天板に木を使ったキッチンは、リビングダイニングの木の家具とよく馴染み、レンジフードが視界を遮らない対面式のレイアウトと相まって、LDK全体に一体感を演出しています。さらに、ダイニング側から使える収納を設けることで、食器の出し入れや配膳などの手伝いも誘発する、そこで過ごす家族や仲間の一体感も生み出す場所になりました。

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集中して​効率よく​作業したい!​“自分ペース”で​動ける​キッチン

マルチタスクな場であるキッチンは、自分の使い勝手をとことん追求したいもの。Ⅱ型キッチンは、振り向くだけでシンクとコンロを行き来でき、動線を短くすることができます。キッチンの幅を小さくできるぶん、回遊動線も計画しやすく、作業効率の良いキッチンづくりが目指せます。“自分ペース”で動けるキッチンは、忙しい毎日でもQOLが上がりそう。

case1 小上がりとつながるキッチン。シンク一体型テーブルで、家事も育児もスマートに

(写真提供:EcoDeco

LDKの中心に据えたのは、シンクを埋め込んだ約1.8×1.1mのカウンターテーブル。大きなカウンターは、料理時は作業台に、食事時はダイニングに早変わり。子どもが遊んでいる時も、声が届く場所で見守ることができます。キッチン側の床は一段下げて、カウンターテーブルをダイニング側からもキッチン側からも使いやすくしました。

家事の手間や手入れをスマートにする工夫は、素材選びや収納にも。コンロ側キッチンはタフに使える業務用をセレクト。タイル貼りの壁は拭き掃除しやすく、オープン収納はものの出し入れが楽々。シンクは2層シンクを取り入れ、調理用と洗い物置き場に分けて使っています。家事をささっと済ませて、生まれたフリータイムを親子でたっぷり楽しんでいます。

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case2 Ⅱ型でつくる、“私の厨房”。仕事も料理も、切り替え上手な独立型キッチン

(写真提供:ゼロリノベ

「生活感を見せたくない」「料理に集中したい」そんな思いから、独立型キッチンを選ぶ人もいます。

こちらの家では、こだわりの家具やアートを並べたリビングダイニングからキッチンを切り離し、油はねや匂いを気にせずに料理に没頭できる空間に。ステンレスの天板とレトロな100角タイルで構成されたキッチンは、お店の厨房のような雰囲気です。体を反転させるだけで作業ができるⅡ型と、モノの所在が一目でわかるオープン収納の組み合わせは、調理も片付けも捗りそう。

この家のご夫婦は、ともに在宅ワーク。キッチンの横には奥様のワークスペースがあり、仕事の合間に料理をしたり、お茶を淹れたりと、家の中でリフレッシュができる暮らしは仕事の効率も上がりそう。キッチュなピンクも気分転換に一役買ってくれる、おこもり感が心地よいキッチンです。

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壁に​向ければ​すっきり、​対面に​すればに​ぎやか。​ポイントは​“火の​位置”

Ⅱ型キッチンでは、コンロを壁側に配置するか対面側にするかで、使い勝手はもちろん、実現できる間取りや空間の印象も変わってきます。それぞれのケースの事例を通じて、Ⅱ型で可能になる間取りのアイデアを紹介します。

case1 見晴らし良好!大屋根の下に家族が集う、吹き抜けのLDK

(写真提供:中田製作所/撮影:佐藤陽一)

大きな三角屋根がフロア全体を覆う、ロフト付きの平屋。吹き抜けの開放感を活かすため、コンロはロフト下の壁側に配置し、レンジフードも壁側に設置。シンク側の対面カウンター上には戸棚を置かずすっきりとさせて、見晴らしの良いキッチンを実現しました。

吹き抜け空間で対面キッチンをつくる場合、レンジフードは壁付けか宙吊りが一般的ですが、使える機器が限られたり、設置に工夫が必要だったりします。

「Ⅱ型キッチンでコンロを壁側に配置する」というアイデアで、空間の抜け感を保ちながら、家族が集まる空間の心地よさを最大限にしたこの事例は、“憧れの吹き抜けリビング”づくりの参考になりそうです。

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case2 目の前で料理、その場でサーブ。みんなで“ライブ感”も味わうキッチン

(写真提供:ikmo/撮影:西川公朗)

こちらは、IHヒーターを組み込んだアイランドカウンターを、ダイニング側にレイアウトした事例。ダイニングテーブルに集まった家族や仲間の目の前で料理をして、できたてをそのままサーブできます。

IHヒーターの上に設置したレンジフードは薄型をセレクトして、圧迫感を抑えつつ頭上の抜け感を確保。アイランドカウンターの四角い形に呼応させて、レンジフードもデザインの一部として活かしています。シンク側の壁には控えめなオープン棚を設け、視界の抜け感をつくっているのもポイントです。

カウンターまわりとダイニングは回遊できるので、家族や仲間と一緒に調理や片付けが可能。料理の時間を丸ごとみんなで楽しめる、ライブ感も味わえるキッチンです。

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「Ⅱ型キッチン」のアイデア、imageboxで見つけよう!

さまざまな空間事例や、「使用アイテム情報」を紹介している『imagebox』。

今回ご紹介した以外にも、「Ⅱ型キッチン」のタグからさまざまな実例を見ることができます。空間づくりの参考に、ぜひご覧ください。

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テキスト:サトウ