モーガルソケット第二形態
家づくりの現場で、最もノーマルな照明器具といえば磁器製のモーガルソケット。
主張せず“ただ明るさを添えるだけ”の壁付けソケット。色々探した建築のプロが結局はこれに戻ってくる、長年選ばれ続けてきた明かりの原型です。
飾るためにデザインされたというよりも「機能のために生まれてしまった」無作為な造形は、どこか潔く、唯一無二な存在感を放ちます。
そんなモーガルソケットの良さを引き継ぎ、壁面と一体化させたのが、今回ご紹介する『モーガルレセップ』です。
露出していたソケットは、壁の向こうへ。磁器の質感だけ残して、空間に余計なノイズは与えない。ただそこに光を定着させるような新しい電灯器具の話です。
最小径のチラリズム
壁に埋め込んだことで「何者でもない感」に磨きがかかったこのレセップ。実はこれ「小さな電球にも似合う埋め込み照明が欲しい」という現場の声から生まれたもの。
これまでのレセップ照明の多くは、磁器製のソケットを別の素材でカバーする構造が一般的でした。
そうすると、どうしても電球との間に「いかにも器具っぽい隙間」が見えてしまう。大きめな電球なら隠せても、小ぶりな電球を合わせたときに隙間がノイズになる……というのは、空間での見え方にこだわり抜く設計者ならではの悩みでした。
その課題を解決した「モーガルレセップ」は、台座の部分までまるごと磁器による一体成形。異なるパーツを組み合わせるのではなく、ひとつの滑らかな塊としてつくられるため、ソケットと台座の間に「継ぎ目」となる隙間がそもそも存在しないんです。
台座のサイズもまた絶妙で、冷酒のぐい呑みくらいの小ささに抑えられています。厚みはたっぷり6mmあり、焼き物特有のぽってりした質感が味わえます。
例えば、直径50mm程度の小ぶりな電球をつけた時には台座と一体になって、壁から「にゅっ」と生えてきたみたいな見た目に。
70mm以上の電球を合わせれば、正面からは台座が隠れる訳ですが、完全に隠れてしまうものでもなく、近づいて横から見ると厚みのある磁器がチラリと覗きます。
LEDの普及により、電球を替える頻度は減りましたが、気分に合わせて電球を選ぶ楽しみは残しておきたい。どんな電球も受け止める「変身の余地」を残した、定番アイテムです。
素地そのままの白、混じり気のない黒
カラー展開は「ホワイト」と「ブラック」の2色だけ。元祖モーガルソケットと同じ仕上げとしています。
「ホワイト」は、素地そのままの色を活かした透明釉薬仕上げ。「ブラック」は濁りのない純度100%の黒。どちらも「飾るため」の装飾ではなく、「素地を保護するため」の釉薬。「昔の焼き物といえば、こうだったよね」と言いたくなるような、マットともゆらぎとも違う、素直な表情です。
曖昧な中間色が好まれる今の時代に、混じり気のないパキッとした白黒の展開。むしろ白黒つけない今だからこそ、このはっきりとしたコントラストが効いてくるのかもしれません。
消灯している時は、内装と電球の境界線となりその場を引き締めるアクセントに。そして明かりをつければ、磁器の艶が反射して、光の輪郭を際立たせてくれる。
電球の形や光の広がり、色の温度。「電球そのものの個性」を、無垢な白と黒が引き出してくれるのです。
引き立て上手、気配り上手
どんな空間に置いても出しゃばることなく、どこまでも脇役に徹する「モーガルレセップ」。
けれど、本当の脇役の力は、仕上げにこだわり抜いた空間の中でこそ、発揮される気がします。
周囲の素材感と喧嘩せず、かといって埋もれることもない。どっちつかずのようですが、本当にそんな包容力を持った存在なのです。
実際、私たちの予想を超えて「こんな場所にもありなのか!」という使い方をされるプロの方も多く、その引き出しの多さに驚かされています。
かつてのモーガルソケットがそうだったように「周りは変化していったけど、これはずっとある」。そんな家づくりにおいてなくてはならない、頼れる存在になっていく予感を、この磁器の小さな塊に感じています。
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