暮らしの真ん中、キッチンの背景
一見して料理の場とは分からないくらい、家主の創意と個性に溢れたキッチン。家をつくる時は、まずキッチンからというように、リビングと連続させた、暮らしの中心として設える事例が増えてきたなと感じています。
空間の象徴となるようなカウンターの素材と形、好きなデザイナーのダイニングチェアやペンダントライト……、主役に置きたいピースを組み合わせていった先に、背景には「主張しない引き立て役」が欲しくなることも。
「全面タイルにするとちょっと重たい」「塗装もいいけど汚れは気になる」そんな場面で使ってもらいやすいキッチンパネルを見つけました。その名も『マットカラーのキッチンパネル』。
不燃で汚れに強いという機能性を備えながら、空間の設えを邪魔しない質感と、しっとりとしたムードをつくるグレーの色展開。キッチンの背景づくりを支える名脇役的な存在です。
素材と色の仲介役
表面は艶なしマットで細かな凹凸のあるエンボス仕上げ。「⚪︎⚪︎風」といった柄の主張がない、プレーンな見た目です。
そしてもう一つの特徴が、グレイッシュトーンの色展開。「ホワイト」「ブラック」の間の4つのトーンのグレーを揃えています。この微妙なニュアンスのグレーの選択肢って、今までキッチンパネルでは意外と見つからなかったんです。
数あるグレーの中でも、今回選んでいるのは、青みを抑えたグレー。木が使われている住空間に合わせやすく、木目の印象を引き立てる色調で揃えました。
設備機器などの金属素材、陶器や竹素材の食器に調理器具など様々な素材が集まるキッチンの背景として繋ぎ役となってくれます。
キッチン空間を考える時には「貼らなくて良いなら貼らずに済ませたい」というくらい、最後に選ばれる存在のキッチンパネル。こだわって選んだ床材・キッチン天板・レンジフード……組み合わせを厳選した空間の中に、違和感を与えずはまってくれるようなラインナップを目指しました。
グレーの活かし所
白黒つかない、曖昧なグレーは、隣り合う素材との相性によって印象が大きく変わるのも魅力のひとつ。比べてみると、色味によって得意分野が色々あるなと感じています。
築古戸建ての飴色に変化した柱の隣や、コンクリートの躯体壁、ラワンの造作棚に囲まれた一角など「白だと浮いてしまう場所」でこそ、この色味が活きてくると思います。色を選ぶ時にはぜひ、単体ではなく周囲の素材と合わせて、雰囲気を確かめてみてください。
また、もうひとつ大切なのが素材の隣り合わせ方。見切りの部分をどう見せるかによって空間全体を見た時の印象が変わってきます。
周囲の素材とのコントラストや、見切り方にも着目すれば、より自分らしいキッチンづくりを叶えることができるはず。
同色の見切り材もご用意していますので、現場にあった納め方を選択いただけます。
タフネス素材
水場と火元に囲まれ、油や調味料が飛び交い、時には泥付き野菜や魚の鱗の処理もする。汚れるのが宿命とも言えるキッチン環境は、きれいごとだけでは済まされないのも事実です。
特に私はせっかちな性格だからでしょうか。躯体壁を塗装した我が家のキッチンでは、鉄のフライパンなんかを戻した時に付く擦り傷が絶えません。
「マットカラーのキッチンパネル」は、元々住宅用ではなく、公共施設で使うことを想定してつくられたもの。工場などの壁や天井に貼られる素材というだけあって、とってもタフです。
油にケチャップ、カレーなど、汚れが染み込みにくく、拭き取りやすい。普段のお手入れは水拭きで、落ちない時は中性洗剤を使って。「ダークグレー」「ブラック」はキッチンパネルとしては珍しい指紋レス仕様で安心して選ぶことができます。
「汚れに強い」だけでなく、特殊なUV高硬度塗装を施しているおかげで表面が硬く、擦り跡がつきにくいのも大きな特徴です。もし跡がついてしまった時は、拭き取ることで傷を目立たなくすることができます。もちろん、全く傷が残らないというわけではないですが、日々のキッチン仕事に充分耐えうる強度を持ち合わせた、頼れるキッチンパネルです。
隣合う素材や家具・照明、料理の道具まで。キッチンにある要素を穏やかに鮮やかに引き立てる背景。キッチンに閑けさをもたらす存在です。