施主支給では、建材の発注だけでなく、受け取りや検品などの作業も施主が行います。施工会社が家づくりをスムーズに進行できるように努めることは、工事中のトラブルの回避にもつながって、施主にとっても施工会社にとっても満足のいく家づくりがしやすくなります。また、施主支給を取り入れた家づくりでは、お金の流れも通常の家づくりと変わってきます。「施主支給」を取り入れた家づくりをする際は、具体的にどんな作業をすることになるのか、注意点はどこなのかをよく把握してから臨みましょう。

施主支給のお金のこと

施主支給品の費用は住宅ローンに組み込みにくい

施主支給品の費用は住宅ローンに組み込めないことがあります。ローンの申請に使う施工会社の工事費の見積もりには、施主が自分で買う建材の費用は含まれないからです。施主支給の内容や見積書も一緒に提示すれば対象になる場合もあるようですが、判断は金融機関によって異なり、なかなか難しいのが現実。施主支給を考える時は、購入費用を自己資金から用意することも念頭に置いておきましょう。一方、施主指定の場合は、指定した建材の費用も施工会社の工事費に含まれるので、ローンに組み込むことができます。

家づくりの費用は材料費だけじゃない

プロが専門の商社から建材を仕入れる時、その材料費には「手間賃」が含まれています。手間賃は、建材を手配する際に施工会社に発生する、必要な建材の数量や関連部材の拾い出し、発注、受け取り、検品、管理といった作業と、破損や故障があった時の備えに当てられています。toolboxのように、一般の人にもプロにもワンプライスで販売しているショップの建材を施工会社に仕入れてもらう場合には、建材そのものの費用と送料のほかに、手配や受け取りなどの手間賃がかかってきます。施主支給をする時はそうした手間賃はかかりませんが、受け取りや搬入などの作業を施工会社にお願いする時は、その分の作業費が発生することもあるので、施工会社に確認しましょう。また、取り付けの施工費が発生するのは、施主支給でも施主指定でも一緒です。

事前の準備

「使いたいものがある」ことを早めに伝える

vol.2のプロのお話の通り、施主支給への対応は施工会社によって違います。使いたい建材があることや施主支給したいことを、早い段階で施工会社に伝えましょう。できれば家づくりの依頼先選びをしている段階で相談できると、その会社のスタンスを知ることができ、自分が実現したいことがどうすれば叶えられるかの見込みもつけられます。施主にとってはシンプルな要求ですが、プロはその希望を受け入れることによって、家の構造やプランにどんな影響があるのか、どんな工事や職人、下準備が必要になるかを考えます。見積もりにも影響するので、とにかく早めに相談を!

商品を十分に確認して決める

ネットやカタログを見て選んだ建材が、「実物をみたらイメージと違った」ということもあり得ます。施主支給や施主指定に限った話ではありませんが、自分で選んで決めるのであればなおのこと、そうした事態は避けたいところ。使いたい建材の詳細や使用事例などをよく確認し、可能ならサンプルを取り寄せたりショールームで実物を見て、イメージと相違がないかチェックしてから決定しましょう。

建材の仕様や施工要領を確認する

使いたい建材の特性や仕様をよく確認しておくことも大切。例えば「床に貼りたい」と思っていたタイルが実は「壁使用のみ」の仕様だったり、取り付けの段階になって壁に下地がないと付けられないものであることが判明!といった事態が起こることも。また、施工会社で取り扱い経験がないものや海外からの輸入品は、あらかじめ施工方法を確認したいと言われることもあります。施工説明書なども用意した上で、使いたいものが実際に採用できるかどうか、施工会社に確認してから進めると安心です。

保証と責任

工事保証の内容を確認しよう

「届いたら壊れていた」「施工後に故障した」など、施主支給品に起こるトラブルは、基本的に施主の自己責任になり、配送会社への確認やメーカーへの問い合わせなどは、施主が自分で行います。施工会社に対処をお願いする時は別途費用が発生します。施工会社の工事保証の対象範囲や、施主支給品に不具合が発生したらどうするかを施工会社と話し合い、内容について同意を取っておきましょう。いざという時の心構えにも繋がります。

メーカー保証の確認も忘れずに

施主支給品に不具合が起きた時、その原因が施工不良ではなく、支給品そのものにあった場合は、施主が自分で販売元やメーカーに問い合わせて対処します。施工会社の工事保証の対象範囲と合わせて、使いたい建材のメーカー保証や、販売元の保証の内容も確認しておきましょう。

役割分担と責任範囲を明確にする

どの建材を誰が発注するのか、関連部材や副資材の手配、受け取りや検品、現場への搬入、取り付け作業はどうするのか。施主と施工会社、どちらが何をどこまでするのかという役割分担を、工事が始まる前に明確にしておきましょう。その後が進めやすく、責任範囲もはっきりして、トラブルの発生を防ぎやすくなります。

発注から支給まで

商品と数量、関連部材をしっかり確認して発注する

建材は似たような型番や品番のものが多いので、注文時の間違えに要注意。建材によっては、関連部材や副資材と呼ばれる材料も必要になるので、施主と施工会社のどちらが手配をするのか、確認しながら進めると安心です。また、フローリングやタイルなど使う面積が大きいものは、数量を少し多めに注文するのが一般的。施工時に材を切り落として使う場合に備えて、量に余裕を持たせるのです。仕上げ方にもよりますが、1ケース多めにしたり、1.1倍〜1.2倍の量で手配することが多いようです。数年で廃番になってしまう建材もあるので、残った分は居住後に破損などがあった場合の備えにもなります。

工事スケジュールに合わせて支給する

施主支給品は、施工会社に指示された時期に建材を支給することが肝心。建材の支給が遅れると工事が遅れたり、職人の再手配が必要になって追加費用が発生することも。また、建材を早く支給しすぎても、保管場所が必要になったり保管中の破損リスクが高まります。また、「在庫切れ」と「納期」にもご注意を。買いたい時に売り切れになっている可能性もありますし、建材の種類や地域によっては納品に日数を要するものもあります。必要な時期に十分な数量を購入できるのか、納期はどれぐらいなのか、あらかじめ確認しておきましょう。

受け取りと搬入、現場への支給方法を確認する

施主支給品は、購入したものを施主が受け取り、検品した上で現場へ支給します。でも、小さなものであれば施主側で対応しやすいですが、重量があるものや大きいものなど、現場に直送した方がいいものもあります。そうした大物の建材は、「路線便」と呼ばれる業務用の配送方法で送られるのが一般的で、トラックの荷台から受取人が荷物を下ろす「車上渡し」が基本となり、マンションだと共用エントランス付近での受け渡しになります。受け取りに人数が必要になったり、時間指定できないものは届くまで待機する必要があります。また、家の中へ運ぶ際の搬入経路の確認も大事なポイント。自分での対応が難しいものは、施工会社にお願いすることも考えましょう。

スムーズな現場は施主次第。責任を持って取り組もう

施主支給に取り組む際、一番大事なことは、工事がスムーズに進行するように責任を持って取り組むこと。そして、施主が自分でしっかり調べて準備をすることと、施工会社との連携も大切です。工事の進行にも関わるので、わからないことがあったら施工会社に素直に相談をしてみましょう。

ただ、プランの打ち合わせや引越しの準備などでも忙しい中、施主支給の作業を進めるのはなかなか大変なこと。ものによっては施主指定を選択したり、自分でやりきれない作業や不安がある場合は、その分の費用を支払って施工会社にお願いするのも手です。また、コストダウンが目的の場合も、施主支給を行うための時間や労力と、コストダウンが見込める金額とのバランスを見極めたいところ。自分の目的やキャパシティに応じて、進め方を考えましょう。施主支給と施主指定をうまく使いこなして、自分で建材を選んで決める「自由」な家づくりを楽しんでください。

illustration:Kazuya Mougi

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