一目見れば心奪われる、鍛金による美しい模様が魅力の『鎚目模様のシェードランプ』。

この商品をつくっているのは、女性の“鍛金作家”。

鍛金という技法を実際に見てみたくて、工房にお邪魔させていただきました。

工房のために生まれたランプ

ここが「鎚目模様のシェードランプ」を製作している工房。

カウンターの真上には、3つのランプが凛とした佇まいで吊り下がっています。

真鍮でできたシェードの表情豊かな模様が、空間に上品で優しい雰囲気を生み出しています。

新しいバリエーションも続々加わり、大人気商品ですが、もともとは職人自らが「欲しい」と思い、工房に設置するために生まれたランプ。

職人が惚れ込んで作ったもの。そんなランプが魅力的でないわけがない。

ということで記念すべきMAKING CUT1人目。金属板に美しい模様を作り出す、鍛金作家のモノづくりを取材してきました。

可愛過ぎる鍛金作家!

鎚目模様のシェードランプを製作しているのは鍛金作家の小笠原加純(おがさわらかすみ)さん。

「金属が好きで、とにかく金属で何かを作りたいと思って鍛金を始めたんです。」と話す職人気質な方。金属愛から始まるモノづくり。なんともマニアック。

でも、小笠原さんって見た目とても可愛らしい女性なんですよ。

鍛金とはその名の通り、金属を叩いて鍛え、形成していく伝統的な技法。勝手なイメージで恐縮ですが、腕っぷしの強そうな職人さんが出てくると思っていました。

ゼロから生み出す有機的な模様

最初はただの金属の板。何の模様も存在しませんし、真っ平らです。

この板からシェードを生み出すのですから、鍛金という技法、興味湧いてきませんか?

実際の鍛金の様子は是非動画でも見ていただきたいと思いますが、丸く切り抜かれた金属板をとにかくひたすら連続して叩き続けます。

時間にすると10分ほどでしょうか。ずーっと叩く、叩く、叩く。

こうして“鎚目”と呼ばれる模様をつけていきます。しかも、ただ叩くのではなく角度や力加減を調整し、鎚目に変化がでるように気をつけながら叩いているのだそう。

鍛金は、叩く力はそれほど必要ではなく、それよりも抑える力が必要のようです。

小笠原さんは一見華奢そうに見える腕でがっちり抑え、正確に鎚目を打ち込んでいきます。

鍛金とはモノとの対話

鍛金するときのポイントを聞いてみましたが、小笠原さんの返答は「明確な正解はない。」

何回叩くかも、どんな模様をつけるかも、ルールは何もないのだそう。それよりも、「自分の感性とモノとの対話を楽しむこと。」これが一番重要なことだと話す小笠原さん。

モノをただの物と扱わないこの台詞。モノに向けられる深い愛情が、良い商品を生む最大の秘訣なのかも知れません。

始まりは道具づくりから

「仕事の始まりは道具づくりから。」至極当然のことのようにそう話していた小笠原さん。

芋みたいな形をした芋鎚や、傷をあえてつけた荒らし鎚。
どちらも金属を叩くための最重要道具ですが、どちらもご自身で作られたそうです。

荒らし鎚のこの傷はそのまま模様になります。道具づくりの時点から小笠原さんのモノづくりは始まっているのですね。

使う人のことを考えた「美」調整

上の写真、何をしているところだと思いますか?「変なところを叩いているなー」なんて思った方は、まだまだ小笠原さんのモノづくりに向ける愛に気づけておりません。

小笠原さんは“縁”を叩いているのです。

こうすることで縁の厚みが増し、シェードに温かみが生まれます。

「使う人のことを思って一打一打、心を込めて叩いています」そう笑顔で話す小笠原さんが印象的でした。

中心が叩いた部分。数ミリの世界。

工房に漂う穏やかな空気

この工房はデザイナーとしてお仕事をされているご主人、斉藤里司(さいとうさとし)さんと一緒に構えており、お二人はまさに理想的なご夫婦。取材中も仲睦まじい様子に何度にやにやしてしまったことか。

金属板をシェードの形に切り抜く仕事は、ご主人の担当。
ご夫婦で協力しあってモノづくりに取り組んでいるなんて、羨ましい限りです。

育てるのは皆さんです

小笠原さんの手で生まれ、お客様のもとへ巣立っていくランプたち。

真鍮と銅でできたこの子たちは時とともに深みを帯びていきます。

小笠原さんが考える様に、この子たちはただの物ではないのでしょう。

作り手の思いがたくさんつまったランプをたくさん可愛がってあげてください。

製作の様子は動画でもご覧いただけます。

小笠原加純(おがさわらかすみ)/斉藤里司(さいとうさとし)

(橘川)

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