「この割り付け、どう納める?」フローリング施工の試行錯誤

現場へ行くと、フローリング貼りの職人さんと、工事班の田井が話し込んでいました。

「ここから貼り始めると、やりやすそうですよね」
「せやねん。でもここの切り替えが直角じゃないやろ?」
「この割り付け図の通りに進めて、どのぐらいうまく納まるか……」

二人が話し合っているのは、フローリングを貼っていく際の「割り付け」と「貼り始め」について。

段差と多角形のコーナーが見えます。施工に緻密さが求められそう。

今回の現場『studyroom#2』では、発売間近となっていた『チークウッドフローリング』と、開発中のペイント済みフローリングパネルを床仕上げに採用しました。

ゾーンごとに乱尺とパーケットを貼り分けたり、床仕上げの切り替え箇所に段差があったり、コーナーが多角形だったりと、「貼りやすい」とは言えないシチュエーション。そして相手は「木」。わずかながら個体差があるし、床の不陸など、リノベ空間ならではの影響も考えられます。

特にパーケットは模様やグリッドの関係で、慎重に割り付けする必要があります。工事班が事前に検討した割り付け図を元に挑みます!

入念に計画された、フローリングの割り付け図。

ペイント済みフローリングパネルは、向きを交互にして貼る「市松貼り」にも、方向を揃えて貼る「流し貼り」にもできるデザイン。

今回は、隣り合う『チークウッドフローリング』のパーケットが細かい寄木のデザインなため、ペイント済みフローリングパネルは、スッキリと見える流し貼りにすることにしました。

「木目や模様のあるパーケットなら、多少ズレがあっても、“木だからね”って許容しやすいし、味になる。でも今回のパネルは、そこが面白いところだけど、木目がなくてラインだけ見えるデザイン。流し貼りをしてラインが揃ってないと違和感が出るかもしれないから、貼る時はそこに気を配ったね」と、職人さん。

実のハマり具合とラインの合わせを見極めながら貼っていく。

実物を見た印象や、実際に施工してみての率直な声。そうした職人さんの声は、商品開発にとってのお宝です。工事班がそれをキャッチし、商品開発チームにシェアする。空間づくりに関わる工事班もいるからこそできる、toolboxらしい商品開発のかたちです。

そして翌日は、『チークウッドフローリング』貼り。多角形のコーナーにパズルのように材をはめていく職人さん。パチッ!と板がハマっていくのが気持ちいい〜!

難所のコーナーにもスピーディーに板をはめていく職人さん。カットの正確さと材の見極め力の賜物。

職人さんの作業を観察していたら、あることに気づきました。フローリング材をカットする際、断面を垂直ではなく、わずかに斜めにしているのです。

フローリング材の断面(右側)がちょっと斜めってるの、わかります?

「これはなんで?」
「ふふふ、なんででしょう?」

突如投げかけられたクイズ。うーん。さっき、壁際の板貼ってたから……

「隅にフローリング材をはめる時に、実のない側をはめ込みやすくするため?」
「正解!」

実と反対側を、下部に向かうほど内に入れてカットすることで、壁に引っかからずに落とし込みやすくなるのだそう。

貼り上がった床からはまったくわからない工夫だけれど、「違和感のない仕上がり」は、こうした見えないひと手間の積み重ねでできているんだな、と実感しました。職人さんって、すごい。

再びの「コーナーバトル」。各部を丁寧に計測し、カット調整を重ねてはめ込んでいきます。

『studyroom#2』の内装設計を担当した、商品開発チームの山下も現場に到着。

チークウッドフローリング』は山下の開発商品。貼り上がった様子を眺めて、「思い描いていた色だ……」とニヤニヤ。

往年のミャンマーチークの色艶を目指し、塗装実験を重ねたフローリングの色味に満足そうな山下。

続いては、『チークウッドフローリング』乱尺タイプの施工。工事班の一杉も現場に到着し、職人さんに施工の感触や商品への感想をヒアリングします。

「こっちの部屋は複雑なコーナーが少ないから楽だね(笑)」と職人さん。あっという間に床が飴色に変わっていきます。

職人さんの声は、商品の改良だけでなく、施工要領づくりや商品記事づくりの参考にもなる。

職人さんの手腕と『チークウッドフローリング』の貼り上がりの美しさにうっとりしていると、傍で容赦無く養生を敷き始める田井。

もうちょっと眺めていたいけど、傷がついたら、大変ですものね。この後も工程はまだまだありますものね。はい、退きます。

撮影のためにギリギリまで養生を待ってくれていた田井。「養生職人」と呼びたくなるほどの丁寧な養生でした。

もうひとつの“ものづくりの現場”へ

今日は現場を飛び出して、とある場所へ。訪れたのは、関東某所にある金物製作工場です。

開発中商品の試作を作ってくれたのは、創業90年を超える金物製造工場。

『studyroom#2』で使うスチールドアの試作を受け取りに来たのです。

「枠への取り付けは、ここをこうすればいい?」
「この色は、何を塗ってるんですか?」
「商品として売り出す場合、どういう形で納品するのがいいだろう?」

“施工する側”の目線から、工場の方や山下に向けて、次々と質問や相談を投げかけていく一杉。その問いは、今回の現場での施工に限ったものではありません。開発者・製作者・施工者の3者の目線で話し合いながら、商品化に向けた検討ポイントを整理していきます。

このスチールドアは、山下がかれこれ1年ほど開発を続けているアイテム。

商品の形や品質だけでなく、取り付け方法や現場での受け取り方も重要な要素。

実は工事班は、こうして開発中の商品の工場を訪れることがしばしばあり、日頃から商品開発のプロセスにも関わっているんです。

はしゃいでいるように見える一杉ですが、ちゃんと真面目に仕事していました。

スチールドアについての確認を終えた後は、工場を見学。こうして工場に足を運ぶことで、思いがけない商品のアイデアに出会うこともあります。やっぱり、“ものづくりの現場”は楽しい。

工場を見学しながら、ついつい商品企画のネタがないか探してしまう二人。

計量カップは要らない。ベテラン塗装職人の色合わせ

またしても場所を移して、今後はtoolboxオフィスの地下にある、工事班の工房へ。この日は塗装職人さんがやって来て、現場で使う家具や框材の塗装色づくりを行っていました。

今回の現場に参加してくれる塗装職人さんは、田井と長く付き合いのある職人さん。

内装に使う『クラシックリブパネル』や『チークウッドフローリング』の色味に合わせるのですが、パッと物を見て、塗る側の材を見て、計量カップも秤も使わず、感覚で色を混ぜ合わせていく職人さん。

「なぜその色を?」という色が足されていく。どうなるのかドキドキ。

「ちょっと濃いかな。でも、いい感じじゃない?」と職人さん。

ファーストテイクでこの色味!一体どうやって塗料のバランスを計算しているのでしょう。長年の経験とセンス、それに尽きるのでしょうか。まさに、職人技。

チークウッドフローリング』と『クラシックリブパネル』両方と調和する色を目指します。

少し見ぬ間に大変身!内装工事が進む現場

工場に行ったり工房で塗装実験していて、久々に現場に行ってみたら、白い!!!

壁天井の塗装が終わり、一気に「家」らしくなっていました。

下地の状態だと「現場」という印象が強いけれど、塗装が施されると、一気に空間が仕上がったように感じられます。塗装の力を実感する瞬間。

爽やかな白い壁天井に、養生の下に隠れている『チークウッドフローリング』がとても映えそうな予感。

田井が運び入れている長物は、開発中の板壁材。これから色を塗って、貼り上げる予定です。どんな仕上がりになるのか、お楽しみに。

白っぽいのは塗装下地がついているから。どんな色に変わるのでしょう。

玄関では、タイル職人さんが土間にタイルを施工中。こちらのタイルも、発売準備を進めているアイテムです。

公共建築のアプローチなどで、長年使われてきた焼き物タイルです。

下の写真の右端に写っている真ん中にライン状の穴が空いた板は、今回施工するタイル床の目地幅に合わせて、タイル職人さんがオリジナルで作った目地埋めガイド。これを使えば、目地材がタイルにつきにくい、というわけです。

職人さんたちの道具って、知恵と工夫が詰まっていてワクワクします。

マスキングテープと目地埋めガイドで、目地材からタイルを徹底ガード。

床面の仕上げと壁天井の塗装が終わり、残すは壁の仕上げ材の施工と、家具や設備、器具の設置。「あとちょっと!」と言いたいところですが、ここからもどんどん出てくる新商品&試作たち。

ドキドキの内装工事は続く。次回も現場から、お届けします。

壁の下半分がカラーリングされたトイレ。どんな空間になるのでしょう。

ツールボックス工事班|TBK

ツールボックス工事班|TBK

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テキスト:サトウ