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脱・均質の素材学 vol.6 磨かれた素材
コラム
2013.10.31

脱・均質の素材学 vol.6 磨かれた素材

建築専門雑誌「コンフォルト」との連動企画、ひとまず最終回。今回のテーマは「磨かれた素材」。あえて難しいテーマに挑みました。

「磨く」という意味を再考する。

雑誌コンフォルトとの連載企画も、ひとまず最終回。
企画だしの段階はじめ、いつも取材に同行して下さったコンフォルト編集長の多田さんの博識に助けられ、なんとかここまで全6回やり遂げることができました。経験の浅い私たちに色々教えていただいた多田編集長、各号の取材先の皆様、本当にありがとうございました。

最終回のテーマは、「磨かれた素材」。
toolboxは、古材の味わいや、金属でもくすんだ鈍い光を好んだり、実はバブル時代のピカピカ装飾の高級感・非日常の世界は、苦手なテイストです。磨くというと、どうしもてもそうした宝石のようなきらびやかなイメージが先行するのですが、建築・職人の世界でいうと、ちょっとイメージが違うようです。

有名なところですと、石も金属も、磨き方次第で、顔が映り込むような鏡面仕上げからマットな表情まで仕上げられます。toolboxで販売しているアルミミラーも磨きの技。左上の写真は、東京大学工学部一号館前の広場に設置された石のベンチ。石の仕上げを変えることで、見る方向によって表現を変えるデザインとなっています。
その他、大理石などの小さな粒を混ぜた白色セメントを塗りつけ、磨きあげた「(現場)テラゾー」。昔、学校の流しであった人研流し(ジンケンナガシ)も磨きの技術。また、古い民家で鈍く品よく光った木の柱や鴨居に出会うことがありますが、あれも住人が長年にわたって磨きあげてきた証。

このように 「磨く」という行為は、手間をかけるということ。磨き上げられた素材は、磨く人、つまりはつくる人、使う人の心を移す鏡なのかもしれません。そう思うと、ちょっとネガティブだった印象はどこへやら。実際、他にどんなものがあるのか知りたくなってきました。

京都へ取材に

さらに考えを深めたいと、今回は建築家であり左官職人でもある森田一弥さんに話しを伺うため、京都市の静原という美しい集落を訪ねました。

森田さんは、大学で建築を学んだあと、左官職人の元で修業をはじめます。少しだけのつもりが奥深い左官の世界に触れ、これは自分で出来るようにならないと面白くないと、延べ5年間修業を積み、その後設計事務所を開設。町家の修復や店舗設計をする中、左官の技術を応用した新しい工法の追求をはじめます。その後も、バルセロナに渡り万博の設計にかかわったり、レンガ積み職人の下にも通いと、色々経験されるのですが、ここでは割愛、詳しくは、本誌をご覧下さい。

森田さんが紹介してくれたのは、「タデラクト」というモロッコの伝統的な左官技法で出きた陶器の小物。石灰を塗り、車を洗うように、くるくると泡立てた石鹸水(オリーブ石鹸)を塗りつけ、左上の写真にあるような小さな小石を用いて表面を磨いて仕上げるというもの。耐水性に非常に優れるため、浴槽などの仕上げにも使うことが出来ます。左のお風呂の写真も森田さんの事務所で手がけた個人邸の事例です。オレンジピンクのような、このやわらかい色合いに包まれた空間。リラックスしたバスタイムが過ごせそうです。

他にも、カラフルなタデラクトを使われたマケラッシュでの事例レポート写真が、森田さんのブログにたくさんあるので、ぜひご覧下さい。

ただ、眺めれるにあらず

磨き仕上げは、実際どういったところに取り入れるといいのでしょう。
モロッコのモスクでは、出入り口まわりの人がよく触りそうなところだそうです。日本でも、大津磨きは洗面所やトイレ、廊下の壁など、人の手の触れやすいところや水がかかる場所に多く使われてきました。
磨き仕上げは、ただ眺めるにならず。 磨く人がいなければ出来ない、自然と人工の中間に位置するもの。ハレの舞台でなくても、日常なにげなく手にふれる場所に、取り入れられていることで、空間の名脇役として空間の質を高め、実際に触れて、その仕上がりを感じることがいいのだと思います。

CONFORT (コンフォルト) 2013年 08月号 [雑誌] 
より専門的な切り口で今回の特集記事が掲載されています。ぜひ合わせてご覧下さい。

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