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職人たちの競演
【リノベーション事例】
2011.06.30

職人たちの競演

昨年末に行われた職人会議。そこで出たテーマを形にしてみました。
text = 荒川公良

「新しい感性、デザインセンスを持った職人が関わることによってできる、
空間作りの手法や仕組みというものがあるのではないか。」

今回のワンルーム3部屋のリノベーション。実は通常とはかなり異なる施工体制で行いました。
(プロジェクトの概要はこちらをご覧ください。)
通常は、設計がデザインをして、施工会社さんに形にしてもらう。施工会社さんのつきあいのある職人さんが与えられた工事をこなしていくという方法です。
今回は違います。toolboxでお世話になっている職人さんを集めて、全員でひとつのテーマのもと考え、それぞれが独自のデザインを表現しながら工事をしていく。そうなんです、ディテールのデザインや仕上げをすべて提案してもらったのです。

プロジェクトスタート。全員で現場で考える。

 

毎日、素材に触れ、作り方に熟慮している方達だからこそ、設計者が全てを決めてしまうよりも、表情豊かな仕上がりになるのではないか、そう考えたわけです。

このチームは全員がフラットな関係です。
誰が頭になって決定していくわけではなく、不動産屋、デザイナー、塗装、金物、家具、大工、解体、設備、建具、タイル、雑工などが全員で考え、現場で形を決めて行きます。
取り合いがある部分は、それぞれの職人たちが話し合いをして決める。迷ったら相談する。プロ同士だから技術を教えあえる。
そうやって議論しながら、各々が得意技を繰り出す。価値観があう人たちが集まっているから、デザインが同調し、積み上げられて、空間が完成するのです。

サッカーに例えると分かりやすいかもしません。試合中は監督がいなくて、全員が味方の動きをよんで、次のプレーに移る。パスを出すのか、シュートを打つのか、デザインのボールが次々に回されて、最終的な形に向かっていきます。

攻めと守りのチームプレイ

 

ワンルームはいつも決まって6畳前後です。その限られた広さをどう変化させるか、どうすれば貸せる部屋になるか、そこが大事なポイントでした。そういった空間全体に対するディレクションや使い勝手のアイディアは普段設計を行う我々が担当。それぞれのパーツをどうつくるかを彼らから提案してもらったのですが、内見に来ていただいた方から、嬉しい言葉をいただきました。
「ウェブで見るより、実際のほうがいいですね。」
写真では写らない、細かなディテールや素材感にあふれているためだと思います。

こだわりのディテールたち

 

例えば、壁や床の塗装。究極のDIYをテーマになかむらしゅうへいさん(特殊塗装)が塗ってくれました。わざとムラのある塗り方です。
バラバラの色のキッチンや家具、デッキは石岡鉄平さん(家具、木工)のデザイン。棚板の先が丸いのも彼のこだわりが出ています。
鉄のリングや鉄管の棚、タオル掛は青山幸太さん(金物)。鉄の質感が存分に活かされてます。
木製の扉やタイル、階段は瀬尾洋介さん(内装、木工、家具)。カラフルなタイルは秀逸。細かな仕事が随所に感じられます。
プラスチック製の元の蛇口をハンドルの部分を変えるだけで蘇らせてくれたのは穂積美穂子さん。バルコニーの砂利も敷けるなど設備だけにはとどまりません。

丁寧な仕事でベースをつくってくれたのは秋山佑太さん。床を貼り合わせているのに気付かせない技術や、柱、筋交い、セメントのような壁のアクセントは空間を引き締めています。
グラフィックで彩りを与えてくれたのは須賀智之さん(グラフィックデザイン)。空間がメッセージを放つようになりました。

そして、現場管理が出来てしまうのに、あえて口を出さないようして、裏方にまわってくれた福井信行さん。こまかな取付を行ってくれたり、みんなの相談相手をしてくれました。
そして、これらメンバーでは出来ない電気やクリーニングなどの工事はルーヴィスの職人さんたち。

一人一人のパフォーマンスが連携していきました。

鉄と木、お互いの取り合いを相談する石岡さんと青山さん

 

色もドンピシャの調合をしてくれるしゅうへいさん

 

下地の繊細な加工が肝です。秋山さんと瀬尾さん。

 

 

実は、この体制いくつかメリットがあることが分かりました。
まずは、何より細部に宿る技とセンス。隅々までデザインが施され、実際生活をはじめると、きっと気付いていなかったディテールや使い勝手ににんまりしてしまうと思います。そのくらい細やかに表現されている。
その表現が、内見に来る人にも伝わり、喜んでもらえる。普通は既製品であるはずのものが手作りでつくられている。わざと残された溶接の跡や塗りムラ。木の素材感や、タイルの分厚さ。それらが伝わるからこそ、どこにもない部屋になり、借り手がつく。貸しやすくなる。

そして、これだけの造り込みをしているにも関わらず、実は適切な投資コストのなかに納まっている。
これは職人さんが主体になることで、ついついこだわってくれてしまうため、コストの割に良い仕上げにしてくれている。素材の知識がある人たちだからこそ、つくりやすいやり方を模索しながら、材料代・手間のバランスをとってくれているのです。

それから、コミュニケーション。設計から工事をする人までの距離が長いと、誰が何をつくったのか分からなくなります。この体制は、職人さんまでがダイレクト。だから、完成後の引き渡しのときはオーナーさんに全員で細かく説明する。それぞれのこだわりや、なぜこのような仕上げにしているか熱く語ってくれる。お互いの顔を分かっていれば使い始めるにあたって安心です。

塗った本人によるオーナーさんへの説明

 

これらのメリットは、やってみて分かったこと。新しい試みに対して理解を示していただいたオーナーさんだったからこそできたことです。完成のときには、本当にオーナーさんも含めて全員で作り上げた気分でした。

この体制は数をこなしていくごとに、どんどん効率的で、かつ精度の高いチームになっていくのだと思います。お互いのコミュニケーションがスムースになっていく。そうすれば、新たなデザインの挑戦もしやすくなる。進化していくのです。

toolboxでは、この手触り感のある空間の作り方を広げていこうと思います。模様替えをするように、一つ一つのパーツを変えていく。つくっていく。
職人メンバーも随時いろんな人が出入りして、この輪がひろがればと思っておりますので、ご興味ある方は職人募集よりお問合せください。

つくる人と使う人の距離が短くなった新しい空間づくりのあり方。ご期待ください。

 

職人全員によって引き渡し

 

新しい工事体制