「住みたい場所」は見つかった。でも、「住みたい部屋」ではなかった。
二人目のお子さんの誕生をきっかけに、住まい探しを始めたご夫婦。
購入したのは、立地や広さ、間取りなど、条件にぴったりだったマンションでした。
7年前に一度リフォームされていたこともあり、設備や内装はまだ新しく、使用感もほとんど感じられない状態。
「全部リフォームするのはもったいないよね」
そう感じる一方で、内装はもう少し自分たちらしい空間に整えたいという思いもありました。
ご夫婦が惹かれていたのは、ラワン合板の木目やコンクリートの質感など、素材そのものの表情を楽しめる住まい。使い込むほどに味わいが増し、暮らしとともに愛着を育める空間です。
実は以前から、toolboxの定額制パッケージリフォーム「ASSY」にも興味があり、ラワン合板やコンクリート躯体、白塗装を組み合わせた素材感に惹かれていたそう。
一方で、今回の住まいはフルスケルトンにするにはもったいないほど、まだ十分にきれいな状態でした。
そこで設計施工を担当したツールボックス工事班|TBKがまず考えたのは、「何を新しくするか」ではなく、「何を活かせるか」ということ。
既存の設備や建具を一つずつ確認し、ご夫婦が思い描く暮らしを実現するために、本当に手を加えるべき場所を整理していきました。
変えるのは、全部じゃなくてもいい。
リノベーションというと、設備や内装を一新するイメージがあるかもしれません。
でも今回選んだのは、使えるものは活かしながら、本当に変えたい部分だけをリメイクするという方法でした。
それを体現しているのが、今回のキッチン。
新品へ交換するのではなく、選んだのは既存のキッチンをリメイクするという方法でした。
本体はそのまま活かし、ラワン材の面材や新たな天板を組み合わせることで、空間の印象を一新。レイアウトも対面キッチンから壁付けへ変更し、新たにL型のカウンターを設けることで、家電やゴミ箱の置き場まで含めて使いやすく計画しています。
一見すると、既存のキッチンを活かす方が手間も少なく、簡単に思えるかもしれません。
しかし設計担当者は、「実は新品のキッチンを入れる方が設計はずっとシンプルなんです」と話します。
既存キッチンには図面が残っておらず、現場で何度も採寸を重ねながら、新しい天板や収納との納まりを一つひとつ確認。既存設備を傷つけず施工を進めるため、新規設置以上に確認や調整が必要でした。
さらに、既存の設備を傷つけずに解体・加工する工程は、壊してゼロから作るよりもはるかに神経を使う作業。現場での地道な微調整を重ねてきたからこそ、「既存リメイク」とは感じさせないこの家らしい新たなキッチンが完成しました。
この「見極めて、活かす」という考え方は、キッチンだけではありません。
玄関収納やトイレ収納も、本体はそのまま活かし、面材をラワン材へ貼り替えました。
使えるものは残し、本当に変えたいところだけを更新する。
その取捨選択が、既存を感じさせない統一感のある空間につながっています。
一方で、毎日使う洗面は新しい洗面台とミラーを採用。
既存設備を残すことが前提ではなく、目指す空間に合うかどうかを一つひとつ見極めることも、今回大切にした考え方です。
使えるものは残し、本当に変えたいところに手を加える。
一つひとつを丁寧に見極めることで、必要以上に壊すことなく、自分たちらしい住まいへと整えることができます。
「仕上げすぎない」という選択
既存を活かしながらも、自分たちらしい空間にするために欠かせなかったのが、素材の選び方でした。
ラワン合板の木目やコンクリートの質感など、素材そのものの表情を楽しめることも、ご夫婦が大切にしたポイントの一つです。
LDKにはラワン合板やコンクリート躯体、白塗装を組み合わせ、余白を残した素朴な雰囲気に。木目やコンクリートの質感がほどよいアクセントとなり、暮らしの風景に自然と馴染む空間になっています。
素材は、たくさん使うことではなく、どう見せるか。
TBKがひと工夫加えたのが、この収納まわりでした。
もともと押入れだった収納は、内部はそのまま活かしながら、建具だけを新しく製作。しかし引き違い戸だけをラワン材にすると、白く塗装した壁の中で建具だけが浮いて見えてしまいます。
そこで収納まわりの壁面にもラワン合板の目透かし貼りを提案。ラワンの”面”をつくることで、木の表情に広がりを持たせ、空間全体のアクセントとなるよう計画しました。
キッチンや収納扉にも使われているラワン材とも呼応し、LDK全体にほどよいボリューム感が生まれています。収納としての役割はそのままに、空間全体の印象を引き締める存在となりました。
また、キッチン上部の吊り戸棚には、全ネジボルトで吊るデザインを採用しました。
あえてボルトを長めに残すことで、ラフな表情を生み出すだけでなく、棚板の高さを暮らしに合わせて調整できる余白も確保しています。
整えすぎず、暮らしに合わせて少しずつ変えていけること。そんな柔軟さも、この住まいが大切にしたデザインの一つです。
ラワン合板やコンクリート、白塗装。特別な素材ではなくても、その組み合わせや見せ方を少し工夫するだけで、空間の印象は大きく変わります。
加えすぎず、整えすぎず。
シンプルな内装だからこそ、暮らしとともに少しずつ、その家らしい表情へと育っていきます。
収納を、ひとまとめに。
素材やデザインだけでなく、住まい全体の使い方も、この家族らしく見直しました。
その一つが、収納計画です。
一般的には各部屋に収納を設けることが多いですが、今回は家族4人分の衣類をまとめて収納できるファミリークローゼットを新たに計画しました。
収納を一か所に集約することで、各個室に大きな収納を設ける必要がなくなり、コストを抑えながらも、暮らしに合った動線を実現しています。
洗濯物をしまう場所が一か所にまとまることで、毎日の家事もよりスムーズになりました。
また、玄関にはご夫婦共通の趣味であるキャンプ用品のためのオープン収納を計画。
収納したい道具に合わせて奥行きを決めるなど、「何をしまうか」から寸法を考え、出し入れしやすく、日常的に使いやすい収納となりました。
収納を「増やす」のではなく、「まとめる」という選択が、家族4人の暮らしにちょうどいい住まいをつくっています。
その家に、ちょうどいい答えを。
住まいを整える方法は、一つではありません。
設備や間取りをすべて変えなくても、素材の表情や収納の考え方を少し見直すだけで、暮らしは大きく変わります。
「全部新しくしたいわけじゃない。」
「でも、自分たちらしい空間にはしたい。」
そんなご夫婦の思いに対して、TBKが大切にしたのは、「残す」「変える」「加える」を丁寧に見極めることでした。
使えるものは活かし、本当に変えたいところだけに手を加える。
そうして完成したのは、既存を活かしたとは思えないほど自然で、このご家族の暮らしにしっくりと馴染む住まいです。
リノベーションは、すべてを新しくすることではありません。
住まいの魅力を見極めながら、その場所に合った答えを考えていく。そんな住まいづくりも、TBKが大切にしているリノベーションのかたちです。
担当:矢板/テキスト:東
ツールボックス工事班|TBK
toolboxの設計施工チーム。住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。
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