私とtoolboxの出会い
私は学生時代、DIYができる賃貸物件で暮らしていたことをきっかけに、DIYに取り組む中でtoolboxと出会いました。出会いのきっかけは商品でしたが、そこから商品コラムや連載記事、インスタライブを知り、気が付けばすっかりtoolboxのファンになっていました。
そんな建築学生だった当時の私のお気に入りは、工事班の現場通信で連載されていた「studyroom#1」の記事。記事の更新を首を長くして待っていたことを覚えています。
普段あまり見ることのなかった内装が段階的につくられていく様子や、工事班のメンバー自身もできあがりがどうなるかわからないという即興感に心を奪われていました。
膨大なコンテンツに圧倒された入社当時
私が入社した直後にtoolboxのメディアに対して抱いていたイメージは「とにかくコンテンツが膨大!」ということ。
サイト内で読むことができる記事だけでも、自分らしい家づくりのヒントになるようなユニークなアイデアを発信する「editor’s board」。toolboxアイテムを使った施工のノウハウを発信する「how to make」。toolboxの商品を採用いただいたお客様の事例を紹介する「user’s report」など様々な切り口から家づくりの情報を発信していました。
さらに驚いたことは、記事がアップされる頻度。ほぼ毎日のペースで新しい記事がアップされています。
この膨大なコンテンツ量と高い更新頻度からtoolboxのメディアが“乱打必中”の精神で情報を発信している印象を受けてしまい、正直、ひとつひとつのコンテンツの狙いやコンテンツ同士のつながりまでは見えてきませんでした。
情報を届ける立場になって、見えてきたこと
半年間の研修中、メディア運営に関してはインスタライブの企画進行と、私たちのコンテンツであるUser’s reportを書くという2つの仕事に携わりました。
toolboxならではの企画の出発点
インスタライブの企画進行は自らが主導して動く初めてのプログラムでした。企画から台本作成、撮影段取りまで、時には先輩たちの力を借りながら進めています。
そんなインスタライブの企画進行の中で意外だと思ったことは“企画の出発点”。
先輩方から伝えられたのは、「最近自分が感じたことや思ったこと」を起点として企画立てを行うということ。当初の私は「世の中の流行に沿うこと」や「話題になりそうなこと」を基準に企画を考えるものだと思っていました。
マーケットの流行にとらわれず、自分が素直に良いと思った商品を提案するという商品開発のスタンスがメディア運営においても垣間見られたように思います。
企画の出発点が自分自身の中にあるからこそ、その先は「どういう人が共感してくれるのか」といったターゲット設定や「見た人はどう面白がってくれそうか、見たあとに何を得てもらえるか」といった情報を受け取る立場に立って企画を詰めていく重要性に気が付くと同時に、それらがしっかり考えられた結果、発信する側の想いが込められた生き生きとしたコンテンツが生まれ、ユーザーを置き去りにすることなく沢山の人たちに見てもらえるのだと感じました。
読み手と記事の出会い方の工夫
次に研修で取り組んだことは、toolboxのサイトに掲載される「user’s report」の記事を書くこと。
これまで、多くの人に読まれる文章を書くといった経験がなく、当初は自分の想いや伝えたいことを自分らしい表現に落とし込みつつ、読み手にきちんと伝わるように言語化することに苦戦していました。
そこで「なぜ自分はこう思ったのだろうか」と自分自身に問いかけ、抽象的だった部分や曖昧な表現を具体化するように意識しました。こうした意識を持てたのは、メディア運営の研修と並行して行っていたシステム改修の研修で、ロジックツリーを用いて物事の原因や本質を深掘りする経験をしたことがきっかけでした。
試行錯誤を重ね、文章を書き直してはチェックを受ける中で、次第に先輩方からも「ここの表現いいね」と評価してもらえる部分も増えていき、最終的に本文を書き上げることができました。
一方で、記事のタイトルだけは最後まで決まらずに課題として残っていました。先輩方からは「本当にターゲットに設定した人が見てクリックしたくなるようなタイトルになっている?」「記事のテーマの表現としては正しいけれど、目をひくポイントが少なそう……」という指摘も。
振り返れば、当時の私は本文に集中するあまり、記事のタイトルの大切さを軽く見ていました。どれだけ記事のテーマを練り、内容を工夫した文章を書いたとしても、読み手がタイトルやサムネイルを見て「読みたい!」と思わなければ、その中身を届けることができない──その事実を改めて実感しました。
タイトルの工夫が記事との出会いを左右することを学ぶ中で、情報を受け取る立場だった時にはあまり意識していませんでしたが、toolboxではタイトルだけでなくサムネイルにも同じように、思わず読みたくなるような要素が盛り込まれていることを発見しました。
例えば、サイトで連載している「マイホームインタビュー」のサムネイルには部屋の写真だけでなく、読み手の興味やワクワクを誘う印象的なセリフや文章が添えられています。
ちなみに研修の中で私が書いた記事はこちら。素材へのこだわりや、オープンな空間で暮らす夫婦ならではの居場所づくりの工夫が詰まった素敵な事例を紹介しました。気になる方は、ぜひのぞいてみてください!
toolboxメディアが描く、これからの広がり
私が入社してから半年の間にtoolboxではポッドキャストやYoutubeなどの新たなメディア媒体での展開が進められています。最初は新しい試みのひとつだと思っていましたが、近くで見ているうちに、それが単なる媒体の拡大ではないことに気づきました。ポッドキャストには、スタッフの家づくりへの想いを“声”で伝えたいという願いがあり、Youtubeには、文章を読まない人にもtoolboxの世界観を届けたいという意志がある。「どうすれば想いをより多くの人に届けられるか」を考え抜いた結果なんだと私は思っています。
また、メディア運営の研修の最初にはコンテンツの量についての話がありました。そこでは「2010年の1年間に、世界には約1ゼタバイトの情報が流れており、これは世界中の砂丘の砂の数に匹敵すると言われている。流通する情報量は年々増え続けており、2020年には約40ゼタバイトに達した」という事実を突き付けられました。想像することすら難しいほどの膨大さに圧倒されると同時に、その無数のコンテンツの中で私がtoolboxと出会い、記事を読んで心を踊らせることができたのは、とても貴重なことだと思いました。
自分自身が感じたワクワクや想いを届けたい人を定めて言葉にし、膨大なコンテンツの中で埋もれないように記事との出会い方を工夫する──そんなtoolboxのコンテンツがより多くの人に届き、私と同じように心踊る体験をしてもらえたら嬉しいです。
半年間の研修を終えて商品開発チームに配属となったので、これからはtoolboxの商品がサイトに並ぶまでの裏側や、私たちが商品に込めているこだわりを、これまで以上にどんどん発信していければと考えています。商品づくりの現場で感じたことや日々の小さな気づきも交えつつ、常に情報を受け取る側の視点を忘れずに企画を磨いていきたいと思います。