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ミニマムリノベの余白を楽しむ!
コラム
2012.04.11

ミニマムリノベの余白を楽しむ!

ベーシックなハコとして売り出されるリノベ済物件に注目

リノベは自分のスタイルに合わせて

今回は、不動産売買を行う仲介マンの視点で、売買物件におけるリノベーションの傾向と事例紹介をしようと思います。

最近は中古マンションを買う際に「リノベーション」という選択肢がだいぶ一般的になり、そのあり方・プロセスにも幅が出てきました。
①購入した後に、デザイナーや工務店に依頼してフルオーダーでデザインを行う。
②購入した後に、セレクト型リノベーションのパッケージ(TOLA等)を頼んだり、toolbox renovationのようにベーシックなハコをまずつくって「パーツ」を加えて行く。
③販売会社によって購入前に既にリノベーションが施されているものを購入する。
分類すると、大きくわけて上記のような3パターンがあります。

例えば・・ 自分のイメージを具現化してくれるデザイナーと一緒にゼロから自分だけの理想の空間をつくりたい方は①を。ある程度、自分でカスタムしていく楽しさや愛着を持てる空間を自分でつくりたい方は②を。①②のケースは物件購入・引き渡し後に工事を行うので住めるようになるまで時間がかかります。時間をかけてこだわってつくり込んでいくよりも、新築マンションのように既にキレイにしあがった空間ですぐに新しい暮らしをスタートしたいという方は③という感じでしょうか。
それぞれ特質が異なるので自分のスタイルや予算などに合わせて選択すると良いと思います。

リノベ済物件にも変化あり

そんな中、③の販売会社によって購入前に既にリノベーションが施されているものにも少し変化が出てきました。
今までは、どうもしっくりこないテイストのクロスやフローリング、普通のシステムキッチンなどでリノベーションが施されていることが多く、デザイナーズ物件と謳い、ちょっとアクセントクロスを使っていても、それが自分好みのカラーや柄でなかったなんてこともしばしば…
せっかく立地や環境が気に入ったとしても内装がそれでは、物理的にはやりかえれば済む話しとはいえ、新品のものをはがしてやりかえるのは環境的にエコじゃないし、販売価格もその分プラスされているかと思うともったいない…こうしたジレンマが多い中では、購入する意欲がわかないのも当然です。

今回ご紹介するこちらの物件は、横浜駅から徒歩圏内の古い団地の一室。約56m²ある室内は細かく間仕切られ、設備は築年数それ相応で古くなっていたところを、販売会社によって、とてもシンプルにリノベーションが施された状態で販売にだされていました。

販売時の状態。ベーシックなハコがしっかり出来ていました。 

リノベーション後の室内は、単身者もしくはDINKS向けに広々したLDKとベッドルーム1つという潔い空間構成。天井高アップのため天井ボードは撤去され駆体や配管が露出になり、壁は左官の金ごて仕上げでキリッと、キッチンは造作で大きくシンプルなものが置かれました。

ひとりには丁度いいサイズのベッドルーム。落ち着いた内装です。

キッチン収納は部屋の雰囲気と家電に合わせてシンプルなものを家具屋さんに。 

このメリハリの利いた物件、toolboxでもつきあいのある施工会社のROOVICE(ルーヴィス)さんが設計・施工を担当されたと知り、納得。

余白を好きなモノで埋めていく

この物件はリノベーションを必要最小限の状態で敢えて留めてありました。(左側の上から1、2番目の写真の状態です)ミニマムリノベと呼んでおきましょう。
この状態だとキッチン収納や棚、照明など、購入される方が用意する必要がありますが、良く捉えれば、その分は余白が多く、自分で手を加えていくことが出来るということだと思います。住み替える機会に今あるお気に入りの家具や家電に加え、新しい空間に合わせて何を揃えるか。壁一面に棚を作たり羽目板を張っても良し、アイアンフック・アイアンレールなどを玄関や洗面所に取付けても良し、大勢で囲める大きなテーブルを特注しても良し、ベースになる「ハコ」はもうすでにあるのでホントなんでも考えられます。

実際ここをご購入された方はアパレルメーカーの代表Sさん(兼デザイナー)。
物件の潔い空間構成と手を加えていける余白部分、あと周辺環境の良さや物件価格のリーズナブルなところが決め手だったそうです。
Sさんはご購入後、入居前にいくつか追加工事を行いました。家具屋さんに特注のキッチン収納を作ってもらったり、靴箱の造作やクローゼット内の使い勝手をより良くしたりと。そして余白部分に今までちょっとずつ集めてきたお気に入りの家具や家電を配置して、新しい暮らしがスタートしました。

アンティーク家具や小物はちょっとずつ集めたお気に入りのもの。 

自分にちょうどいい余白を考える

「ここはベースがしっかりしていて、手を少しずつ加えていける余白がありました。」「真っ白なキャンバスを渡されても、何を書いていいか普通はみんな悩んでしまいますよね。それがA4サイズなのか、A3、A2なのかでも違うし。」と、Sさん。
確かに、どの程度の余白=選択の余地があるといいのかというのは、難しい問題です。キッチン選べます、フローリング選べます、壁紙選べます、何でも選べます!みたいに余白が多過ぎても困ります。逆にザ・デザイナーズ!で「さぁ、住め!」みたいに余白が無くても息苦しい。そういう意味で、この物件の余白部分はSさんに丁度良かったんだなと思いました。

仕事柄、多くの物件と住まい方を見てきましたが、今回のケースを通し、住みながら徐々に手を加えていける余白の大切さに改めて気づきました。床壁が仕上がったベーシックなハコが最初からしっかり出来ている物件を購入することは、時間的な制約、購入後の既存の家賃と、購入物件のローンのW払いなどを考慮しても効率的。なので、そんなリノベ済販売物件の③のパターンに、このミニマムリノベが施されてスタンダードパターンとなったものが少しずつ増えていけばいいなと思っています。

※こちらの物件の仲介・追加工事のアレンジは東京R不動産提携会社のスタジオアハレが行いました。

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