布でできた壁紙
『織物壁紙』は、布に紙を裏打ちして作った壁紙。
壁紙のことを「クロス」と言いますが、「クロス」とは本来「織物」を意味します。もともと壁紙は布で作られていたそうです。
織物壁紙の良さは、何と言っても質感の良さ。
型押しやプリントでは表現できない、布ならではの奥行きやあたたかみがあります。綿や麻でできた天然素材なので、通気性や調湿性があり、夏でもさらっと気持ち良い空間をつくってくれます。
光を柔らかく受け止め、落ち着いた雰囲気を演出してくれるので、寝室やリビングにおすすめです。
住宅ではあまり見かけなくなった織物壁紙ですが、丈夫で品のある高級壁紙として、ホテルや美術館、結婚式場などで多用されています。
こだわる人の無地
欲しいのはゴージャスな見た目ではなく、普段の暮らしになじむ上質。
手の届く価格で、住宅に使いやすい無地の織物壁紙を用意しました。
toolboxが選んだのは2種類。どちらも木製家具と相性が良く、飽きのこない壁紙です。
品がありながら、ラフな内装にも似合います。塗装壁やコンクリート壁と組み合わせても素敵です。床材や建具にもこだわりがあり、「既製品の部屋」はどうも自分のスタイルに合わない、という人に使って欲しい壁紙です。
ナチュラルカラーの「綿麻壁紙」は、ほっこりしすぎない少しグレーがかった色。繊維の模様があるので真っ白な壁紙より汚れが目立ちにくく、壁にも天井にも使えます。
キャメル色の「ジュート壁紙」は、本来はキャビネットの扉に貼るために作られたもの。それを壁に貼ってみたらかっこよかった!というのがきっかけで販売を決めました。
壁紙では珍しいざっくりとした織り目が特徴なのですが、それゆえプロによる施工でも壁紙の繋ぎ目が目立ちます。このデメリットのため、なかなか出回らない品です。toolboxのお客様には、それでも私たちがこの壁紙を推す理由をわかっていただけるはず、と思っています。
部屋全体に貼ると重くなりがちなカラーなので、アクセントクロスとして使うのがおすすめ。クラフト感のあるタイル壁とも好相性です。
メンテナンスについて
静電気が発生しないので埃が吸着しにくく、特別なお手入れは不要です。
デメリットとしては、拭き掃除ができないこと。布ですので、正直なところ、コーヒーや赤ワインをかけてしまったり、お子様に落書きされるとアウトです。壁を触りやすい階段や玄関も手垢がつきやすいので、気になる方は避けたほうが良いでしょう。
拭けなくて厄介なのはスイッチ周りに付く手垢。スイッチを選べるのであれば、壁に手が触れにくい、トグル式のスイッチをおすすめします。toolboxでは『トグルスイッチ』『アメリカンスイッチ』『陶器スイッチ』を扱っています。
知っていて欲しいこと
織物壁紙の住宅シェアが減った理由には、施工の難しさがあります。
天然素材は伸縮するので、綺麗に貼っても、どうしてもつなぎ目が目立ちやすい。下地処理を念入りにしたり、繊維質で切れづらかったりと注意を払うことが多く、技術のある職人さんでないと貼れません。まずDIYは無理だと思っていただいた方が賢明です。そのため一般的な壁紙よりも施工費が高い。
織物壁紙の特徴をお施主さんに充分にご理解いただかないと、工務店さんとしてはクレームを恐れて積極的には扱えないのが本音です。だから日本で使われている壁紙の9割が、安くて施工性が良いビニールクロスという状況が生まれたと言われています。
ビニールクロスが悪いとは言いませんが、心地よい空間をつくるのにはメリットもデメリットも理解することが重要だと思います。
自分の暮らしを人任せにせず、自分で考え、自分で選び、愛着の湧く空間をつくることを楽しんでください。